スシローの悪質おとり広告に映る大企業病の端緒 再発防止のためにはいったい何が必要となるのか

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A社の広告宣伝部の目標はテレビの視聴者から垂涎の的になるような高品質の広告を制作し、限られた予算の中で最適な広告枠を押さえます。それを何カ月も前から用意しているのだから仕入部の事情で直前変更など無理と考えます。

A社の店舗運営部門はこういったさまざまな本部の部門の間で翻弄されることには慣れていて、今回は商品が来ない場合は売り切れ表示してお客様に丁寧に説明することが仕事だと考えます。

ここでの問題はA社の各組織の構成員は、部門の役割に目をとらわれるうちに顧客の期待を裏切っているかどうかを気にしなくなるということです。これが大企業病と呼ばれるものです。

問題が起きても人事考課は「〇」?

それぞれのミッションは専門分化されていて、多くの会社の場合、評価も大きくは次の2つの要素で決まります。

① 部門の目標を達成したかどうか

② 全社の業績がいいかどうか

あくまでたとえ話でしたが、今回のような問題が起きたとしてもA社のほとんどの部門では人事考課は「〇」がついているということが大企業では起きかねません。

A社の営業企画部の社員はよい企画案を出したかどうかが5割、キャンペーンで店舗の来客数が増えたかどうかが5割で評価されるとすれば、予定通りキャンペーンが行われることが何よりも重要で、それが達成されれば給料やボーナスは上がります。

このたとえ話ではA社仕入部が問題を起こしたように見えるかもしれませんが、一般的な大企業の調達部門の目標の場合、安定的に食材全体を調達できたかどうかが目標の3割、調達食材の品質が3割、コストが3割、そしてキャンペーンの特別な食材の調達が目標の1割だったとしたら目標の9割は達成できたことになります。そしてA社の宣伝部門は広告の質と、視聴者にどれだけ広告が到達したかで評価されます。

つまりA社のように大企業で縦割り組織ごとに部分最適を追い求めると、社員の大半がプラスの人事評価を得られるのですが、会社は消費者を裏切ってしまったといったことが起きうるのです。

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