スシローの悪質おとり広告に映る大企業病の端緒 再発防止のためにはいったい何が必要となるのか

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さて、今回の記事はここからが本題です。消費者庁からの措置命令を受けてあきんどスシローでは「今回の措置命令を真摯に受け止め、再発防止に努めてまいります」と謝罪したのですが、問題はどうすれば再発を防止できるのかです。

実はこれがあきんどスシローにとっては意外と難しいかもしれません。スシローの内部事情を詳しく知っているわけではないですが、今回の不祥事は大企業病の典型的な症状で、かつ、スシローは比較的最近大企業になった会社だからです。

その大企業病とはどのような問題なのでしょうか。

典型的な大企業病とは?

大企業では専門性で組織が細分化され、それぞれの組織がそれぞれの目標を達成しようと動きます。一方で組織間の連携をしても評価されない、ないしは組織間の仲が悪いといった組織の弊害が頻繁に起きることが知られています。それが不祥事の要因になることがあるのです。

あくまでたとえ話ですが、スシローではなく私がコンサルタントとして数多く見てきた一般の大企業のいくつかの事例をもとに、スシローのような外食企業A社があったと仮定して今回の問題を考えてみましょう。そこに営業企画、仕入、広告宣伝の各部門と各店舗がそれぞれぶらさがっているとします。

A社の営業企画部はさまざまなキャンペーンを企画して、会社からは「集客をとにかく増やすこと」という目標を与えられる部署。社員はその季節ごとに顧客が望むキャンペーンを企画します。そして「もともと長期スケジュールで企画しているのだから、きちんと仕入れるのは調達担当の仕入部の仕事だ」と考えます。

ところがA社の仕入部から見ればそもそもコロナ禍でサプライチェーンが正常に動かないという前提の変化があります。これまではあらゆる手をつくして商材を調達し、今回頑張ったけど仕入れられないものはどうしても仕入れられないという状況が起きたとします。いちばん大切なことはお店の大半のメニューを安定して調達することなので、中には仕入れられないものが出るのは仕方ない。そう割り切っているかもしれません。

次ページ各部門の役割に目をとらわれるうちに顧客の期待を裏切る
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