生前の瀬戸内寂聴さんが60歳過ぎて挑んだ健康法 歩くようにしたら集中力が増し仕事がはかどった

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瀬戸内寂聴さんが遺した言葉をお届けします(2014年、撮影:尾形文繁)
昨年11月に逝去された作家の瀬戸内寂聴さん。1987年から2017年まで寂聴さんが編集長を務めた『寂庵だより』から、寂聴さんの随想を収録した書籍がシリーズで発売されました。寂聴さんの飾らない素顔が詰まった第3弾『捨てることから始まる 「寂庵だより」1997-1987年より』からエッセイストの酒井順子さんの解説を交えてお届けします。(漢数字や送り仮名などは原文の通りにしています)
<出家のきっかけの一つとして恋愛問題があったかもしれませんが、寂聴先生は源氏物語の女君達のように、出家した後に一人静かにお経を読んで過ごしたわけではありません。また中世の隠遁者のように、ただ世間を疎んだわけでもない。出家後はますます俗世と向き合うことによって、聖俗の間に橋をかけようとしていたのではないでしょうか。(中略)
サガノ・サンガと『寂庵だより』の誕生は、出家によって別の世界に入った寂聴先生にとっての、もう一つの転機となりました。年をとっても、人生は変えられること。そして年をとっても、他者のために生きられること。本書は、そんな寂聴先生の教えと実践を、我々に生き生きと伝え続けるのです。(解説「仏教と共に生きる寂聴先生と、人々とを結んだ『寂庵だより』」酒井順子 より)>

家族について

今年は国連で決めた家族年だという。どうして国連がそんなことを決めなければならないのかわからないが、個人主義の筈だったヨーロッパやアメリカが、家族を見直す気持になってきたのはおもしろいと思う。

外国へ旅行すると、きれいな公園のベンチで、老人が淋しそうにいつまでも日向ぼっこをしていたり、ぼんやり、何を見ているのでもないうつろな表情で坐っているのを見た。たぶん、家族のいない孤独な老人なのだろうと思った。

日本でもマイホームということばがはやりだした頃から、核家族という言葉が横行し、結婚の条件に、お嫁さんの方から、堂々とババぬきでなどと主張するようになった。要するに、姑はいやで、舅もごめんこうむりたいというのである。

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