国語の授業では、通常、このような質問はしません。あくまでも文章に書いてある範囲で、物事を考えていきます。しかし、「君ならどうする?」と言われた途端に、それまで受け身だった頭が主体的に働きだし、心が動き、自分事となって、生徒はこの文章の世界に引き込まれます。世界に入ってしまえば、答えががぜん変わってきます。
国語ができる人は、文章の中に自然と入り込み、自分が主人公になっています。しかしほとんどの生徒は、これができません。なぜなら問題を解くため、どこに答えがあるか探すために読んでいるからです。
本当は設問を気にせずに文章の世界に入れば、結果として設問は解けてしまうのです。そこで私は、いつも生徒を文章の世界に引き込みました。その魔法の言葉が「君はどう思う? どうする?(HOW)」でした。
冒頭でもお話しましたように、論理はとても重要です。しかし、高度な読解は論理と感性の相互作用で理解していきます。論理ばかりに目を向けずに、感性を高めることを優先すれば、本質的視点で物事を判断できるようになっていきます。
話題は日常の些細なことでいいと思います。友達とのこと、学校のこと、趣味のこと、ケンカしたこと、テレビでのニュース……何でも題材になります。
「なぜだと思う?(WHY)」「あなたはどう思う? どうする?(HOW)」という2つの視点を、日常の子どもさんとの自然な会話に取り入れていただくと、いずれ大きな効果が出てくるはずです。
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