米国の戦略拠点を縮小、ソフトバンクの誤算 シリコンバレー拠点の理想と現実

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だが2014年8月、規制当局の認可を得ることが難しいと判断し、買収を断念。米国の携帯市場はスプリント単独で挑むしかなくなった。そして同月、ソフトバンク傘下の端末卸会社ブライトスターの創業者で、「販売に強い才覚がある」と孫社長が太鼓判を押すマルセロ・クラウレ氏(44)が新CEOに就いた。

クラウレCEOは「最初は様子を見るつもりだったが、4日で我慢できなくなった」と語るように、低価格プランや米アップル「アイフォーン」の長期レンタルプログラムを仕掛け、リストラも断行するなど、就任直後からフル稼働。米中西部に位置するカンザス本社では毎日1時間、幹部を集めた戦略会議を行う。

昨年11月にはソフトバンクモバイルの宮川潤一専務が技術面の戦略を統括するナンバー2として赴任。経営の中枢がカンザス本社に集まる中で、あえて西海岸のシリコンバレーに開発拠点を構える意味合いは薄れた。結局、日米共通モデルとして投入する端末の開発も、本社の研究拠点に集約することになった。ソフトバンクのプロダクト部隊はごく少数がカンザスに移るが、多くは日本からの出張で対応する見込みだ。

シリコンバレー拠点の活用策

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(写真:2015 Google)

ソフトバンクグループの人事を統括する青野史寛執行役員は、一連の見直しについて、「米国の開発はマルセロがいる本社に集約すべきという判断。シリコンバレー拠点は計画と異なる面もあったものの、共同で調達コストを引き下げる取り組みはやっていく。空いた建物をどうするかは課題だが、スプリントとの経営会議も続ける」と言う。

もっとも、米国における端末の開発体制を予定どおりに整えられなかったことで、影響も出ているようだ。2014年11月にソニーモバイルコミュニケーションズの主力機種「XperiaZ3」がソフトバンクの端末ラインナップに加わった。今年はスプリントにも投入される予定だったが、見送りになったとの話も関係者から聞かれる。

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