衰退する国・日本には「第三の開国」が絶対必要だ 楽天・三木谷氏×星野リゾート・星野氏が語る
――ひとつの場所にとらわれず、働く場所を変え、仕事とリフレッシュを融合させる。海や山など自然に触れ、地元の人と交流しながらリモートワークをする「ワーケーション」という働き方も、若い人ほど積極的に試しています。
三木谷:とにかく内向き志向をやめて、新しいことに挑戦しようとする若者への投資を促進したいですね。海外の大学で学ぶ日本人留学生も減少していて、オンラインで受講する学生も中国人のほうがずっと多いとか。今の日本に足りないのはハングリー精神。世界を知って自らを前に進める、「開国」が必要ですよ。
「SUSHI」の次は「ONSEN」で稼ぐ
――現状の課題を洗い出してみてあらためて感じるのは、リーダーシップの不在です。今の日本には、ビジョンを掲げる「チーフ・ マーケティング・オフィサー(最高マーケティング責任者)」が必要な気がします。
星野:そうですね。海外からお客さんを呼びたいなら、外国人に伝わりやすいコミュニケーションを意識することも重要です。
たとえば、日本のホテルの名称の多くは、外国人には覚えづらいと不評なんです。この課題に気づいて以来、当社で新しいブランドをつくるときには、「KAI」「OMO」などアルファベット3文字程度で覚えやすいネーミングにこだわってきました。
そして、今後は〝外で稼ぐ〞戦略も強化していきます。実は今、北米で日本の温泉旅館を建てるプロジェクトを準備中です。ロサンゼルスの富裕層が集まるエリアに、いい温泉が湧く土地があり、私も現地を見に行ったばかりですが、本気で勝負をかけたいという思いを強めました。
現地のカルチャーに合わせたスタイルではなく、日本と同じ温泉旅館を海外でやりたいんです。「裸で一緒に風呂に入るなんて」と最初はネガティブな反応もあるかもしれませんが、今や世界で大人気の寿司だって、私が留学した学生時代には「ローフィッシュ(生魚) を食べるなんて」と嫌がられていましたからね。
きちんと本物を伝え、ブランディングをすれば、世界に受け入れられる。日本の文化資産でドルを稼ぐことにチャレンジします。
三木谷:すばらしいですね。そうやって経済界にいるわれわれが果敢に世界に挑んでいくことが、「日本はここまでできるのか」と多くの人の目を開かせるきっかけになるでしょう。
私も、自分の持ち場でやるべきことが満載です。ぜひこれからもアイデアをもち寄りましょう。
(司会:井上高志 LIFULL代表取締役社長/新経済連盟理事〈広報担当〉、執筆:宮本恵理子、撮影:竹井俊晴)
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