教師の「2人組を作って」が生徒の心に傷残す理由 友達付き合いが苦手な生徒に寄り添えぬ大問題
菅野仁著の『友だち幻想』(筑摩書房)によれば、人間関係には「利得でつながっている」側面と、「一緒にいること自体が目的である」側面があるとされています。直感に反するかもしれませんが、私は、学生時代の人間関係は「利得でつながっている」側面が強くあると思っています。その利得とは、「他者からの評価」です。
「社会的つながり」の把握
日本社会は、同調圧力・群れの意識が強いと言われています。若い人はみんな群れたがります。とにかく人と集まることが好きで、誰かと一緒にいないと不安になるのです。
そこには、「一緒にいるのが好きだからいる」という本人の意志と、これまで培われた「みんなと合わせることが正解だから一緒にいる」という無意識の2つが曖昧に交わっています。
「周囲から浮いていると思われたくない」という、他人の目を重視した思考は、「キョロ充」と呼ばれるような人種を生みます。キョロ充はグループに所属しているものの、「リア充」の顔色を読んだり、LINEの即レスに疲れ、既読スルーに悩んだりと、他者と自分の関係性に窮屈さを感じながらも、その関係を続けている人たちです。
しかし、多くの人間は、学校での集団生活から卒業し、個人として生きるようになると、他人軸から自分軸の思考へと基準を変えていきます。「利得でつながる関係」「つながり自体が目的の関係」それぞれの分別をつけていくことになるのです。
だから今、学生の方が、「ひとりでいることがつらい」「誰かに合わせることがしんどい」と思っていたとしても、
「学生時代の人間関係は2つの側面が区別されず、曖昧で無意識的な群れだから息苦しさを覚えるが、そうした曖昧さは徐々になくなっていくこと」
これらを言語化、認識できるだけでも、モヤモヤしていた気持ちがラクになるかもしれません。
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