教師の「2人組を作って」が生徒の心に傷残す理由 友達付き合いが苦手な生徒に寄り添えぬ大問題

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学校という環境でよしとされているのは、「まわりのみんなと合わせることが好き」な生徒です。協調性が高いとして、教師から気に入られやすいです。

運動会の練習では、軍隊のようにきれいに行進するよう指導をされ、卒業式では、父兄に訓練された様子を見せるため、整列や挨拶、歌の練習を何度もさせられます。こうした指導は「みんなに合わせる」従順さを鍛えている以外の何ものでもありません。行事への参加は強制的で、拒否する声でも上げれば、いとも簡単に「変なやつ」「不適合者」扱いとなります。

こうした背景もあり、みんな「群れるのが正解だ」という意識をすりこまれていくのでしょう。

誤解を恐れずに言うと、学校の先生というのは、基本的には、学生時代にきちんと集団に溶け込み、学校に対して悪いイメージを持っていない人がなろうとするのでしょう。そのため、根本的に友達ができない生徒との関わり方がわかっていないのではないか、と思わされる場面があります。

よく言われるのは、体育の授業などでの「2人組を作って」です。人と関わるのが苦手な方が、こうした言葉に不安感を覚えるという経験は、あるあるではないでしょうか。

友達付き合いが苦手な生徒の気持ちが本当にわかるのであれば、教師側でペアを指定してしまったり、「前後の2人で体操をして」など機械的にペアを組ませたりするような配慮ができるのではないでしょうか。少なからず私は、大学の教育学部のような場所では、こうした「自由にペアを組ませるような対応」がタブーであると、将来の教師たちに指導してほしいと思っています。

社会では、年頃の女性に「そろそろ結婚したら」などと口に出せばセクハラとして問題になりかねないのですが、教師から学生に向けて「もっと友達を作ろうよ」などというおせっかいは平然と行われるのです。たまりません。

自己のよくない心理パターンの把握

日常生活で感じる不安の感情は、自身が現実をどう捉えているかによって大きく異なります。受け止める事実は同じでも、捉え方1つで感情をネガティブな形にも、そうでない形にもすることが可能だということです。

これはうさんくさい精神論のように聞こえるかもしれませんが、心理学的に「認知行動療法」などと呼ばれるもので、うつ病、パニック障害、PTSDなど、心の病への有効性が立証されており、投薬治療よりも効果があると言われる、れっきとした心理療法です。

本書も「素人の男がしょうもない知識で書いた本」と捉えて読めば、文章を読むのも億劫で頭に入ってこないかもしれません。しかし「この本は役に立つぞ!」といった事前レビューを見て読んだ際には、気分は明るく内容をスイスイ頭に入れることができることでしょう。本に書かれていることそれ自体が問題なのではなく、あなたがそれをどう捉えるかによって、受ける結果が変わるということです。

普段から落ち込んでしまうことが多い人、うつ状態にある人、この現実の捉え方が、「通常の人と比べて歪んでいる」という考え方があります。これは、心理学で「認知の歪み」などといわれるものです。現実を正しく捉え、自らの感情をコントロールすべく、ここからは認知の歪みの例を簡単に紹介します。

人にイライラしたり、ネガティブな気持ちが浮かんだら、自分の思考に歪みがないか書き出し、冷静に眺めてみましょう。

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