障害ある子の学び「地域の学校か特別支援学校か」 発達のスピードが違う子、必要なのは個別教育

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今回は小学部生活を振り返ってもらった。

特別支援学校では、介護が必要であっても、将来、自立を目指し主体的に生活を送ることを目的に、生活習慣を身に付ける、体調を管理する、コミュニケーション力や人間関係を作るなど、人間として豊かな生活や人生を送るための指導が重視されている。

1日の流れは、子どもの心身にあまり負荷がかからないよう、地域の小学校と比べて時間割がゆったりと組まれている。

5~6人のクラスメートと指導を受ける

優太さんの学校では、授業は午前と午後に1コマずつ組まれている。午前の授業(40分間)は5~6人のクラスメートと一緒に、音楽や運動、感触を発達させるための指導を受ける。

例えば、音楽では打楽器やハンドベルを鳴らしたり、運動ではスポンジボールの的当てや野球を楽しんだりする。感触の授業とは図工や理科のことで、絵の具を手に付けて作品を制作したり、野菜や花を育てたり、カットした野菜の断面にインクを付けてスタンプにしたりしていたそうだ。

「帰りの車の中で、『今日は何をしたのか』と聞くと、ハンドベルや野球など授業で楽しかったことを笑顔で話していました」と崇さんは言う。

午後の授業は、1人ひとりに必要な課題が設定される。優太さんが小学6年のときは、国語ではひらがなやカタカナの書き取りや絵本の音読、算数では数の概念や計算を学んだ。

2年生からは電動車いすで移動する練習をした。保健室にあるハト時計が好きだったので、その部屋までの距離を少しずつ延ばし、卒業前にはエレベーターに乗ることも含めて、教員の見守りのもと1人で動けるようになった。

一般的に特別支援学校では、障害のある児童6人に教員1人、重度・重複障害がある場合は児童3人に教員1人が付く。このほか、学習を担当する指導員、生活支援をする介助員、医療的ケアをする学校看護師、地域を巡回する医師が訪ねてくることもあって、地域の小学校より人員が多い。

修学旅行先のホテルで食事する優太さん(写真:ご家族提供)

優太さんの場合、小学5年生までは人工呼吸器に対応するため、崇さんか母親の綾子さん(46)のどちらかが毎日、校内で待機する必要があった。両親は学校にパソコンを持ち込んで仕事をしていた。小学6年生になる頃からは、親の付き添いはなくなった。

給食の時間は、すべての児童に教員か介助員などが付いて食事指導を受ける。

優太さんは主治医の許可を得て、シリンジ(注射器のような形をしたポンプ)に牛乳やスープ、ミキサー食を入れて、味見をする練習をした。その成果があり、口の中に食べ物を入れても嫌がらなくなり、6年生になった頃からはストローでジュースなどを飲めるようになった。

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