優太さんの学校生活について、綾子さんは学期初めに作成される「個別教育計画」の評価欄(学期の終わりに記載される通知表のようなもの)でよくわかったと話す。
「5人の教員がそれぞれの視点から、日常生活でのエピソードや指導目標に対する達成ぶり、ちょっとした変化やコメントを細かく記載してくれました」
例えば、朝の支度をする場面では、「教員が腕時計を差し出すと、優太さんが自分でストップウォッチの画面を出してスタートボタンを押し、タイムを見ながらスピーディーに取り組み、終わったら止めて、かかった時間を知ることができた」などと記載されていた。
学校のマンツーマン指導で成長した
また、人工呼吸器を付けていると声を出せないと思われやすいが、優太さんは1年生のときから身ぶりを交えながら話している。卒業する頃の評価欄には、「4語文(いつ、どこで、だれが何をどうした)を話せるようになった」「『苦しい』『助けて』と、周囲に吸引のお願いもできるようになった」と評価された。
「ストローでジュース類が飲めるようになったり、ストップウォッチで時間を計測できるようになったり、4語文を話せるようになったりしたのは、明らかに学校でマンツーマン指導を受けた成果です」と崇さんは言う。
冒頭で紹介した就学先の選択について、綾さん夫妻は「地域の小学校は教科学習中心の時間割で、次々と進んでいく。本人のペースで学校に通えたほうがいい」「地域の小学校を選んだ場合、親が授業に付き添わなくてはいけない。しかし、今後、第三者から介助を受けるときに(優太が)お願いすることを含めて、自分でできる範囲を広げるために、家族から離れる時間を作ることを優先した」ことから、「地域の小学校での集団生活にはあまりこだわらなかった」と言う。
一方で、「特別支援学校ではどうしても大人とのやり取りが多くなるため、同年代のお友達作りは課題」「本人にとっては、どちらの学校へ行っても得られるものはある」とも付け加える。
教育委員会との就学相談については、「2013年に制度が一部変更されたにもかかわらず、うまく機能していない」と崇さんは指摘する。
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