日本人を貧しくするお金に対する邪魔な思い込み 「貧しいことは美しい」と信じていませんか

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「お金は苦労して稼ぐもの」という不労所得禁止系と並んで、日本人に多いのが「貧しいことは美しい」という貧乏美化系です。「清貧」をはじめ、「質素倹約」「つつましい」など、貧しいことを尊ぶ言葉が多く、「貧しい人には、思いやりがあるいい人が多い」「貧しい人のほうが人から好かれやすい」といった価値観も定着しています。

ただ、考えてもみてください。貧しくて助け合うしかないから、思いやりがあるように見えているだけかもしれません。貧しいから思いやりがある、というのは偏見かもしれないのです。

このメンタルノイズがどこからくるかというと、やはり親や学校の先生、そしてメディアの影響が絶大です。フィクションでもノンフィクションでも、「お金はないけれど幸せに暮らしています」系の番組は人気ですよね。

貧乏から脱け出したくても、抜け出せない

貧乏美化系のメンタルノイズが強いと、お金持ちを悪い人だと敵視して、 お金を持つことを怖がります。そのため、自分だけ稼ぐことや儲けることに罪悪感を覚えます。実際は、たくさん稼いだらたくさん納税することになるので、みんなに感謝されて罪悪感を覚えずに済むのですが……。

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また、貧乏から脱け出したいのに怖くてできない、という人も少なくありません。「お金持ちの世界は悪くて汚い」と思い込んでいるため、貧乏なままでいるほうが安心感を得られるからです。

お金持ちを敵視しているため、自分がお金持ちになると悪い人間になるんじゃないか、思いやりがなくなるんじゃないか、と考える人もいます。このメンタルノイズが強い人は、ビジネスで成功して儲かっても、あっという間に元の状態に戻ります。

断っておきますが、「清貧の思想を重んじて質素検約にするのはダメ」と言いたいわけではありません。質素倹約が好きで、それが楽しいのならどんどんしてください。同様に、節約や貯金もするのが至福なら、止める理由はありません。

問題なのは、好き・嫌いの基準ではなく、「質素倹約はいいことだからすべき」という「いい・悪い」のジャッジに基づいて行動することです。何事も「いい・悪い」のジャッジで見ると「いいからすべき」となってメンタルノイズになります。自分の本音や本心を置いてきぼりにして行動してしまうのです。

山根 洋士 心理カウンセラー、メンタルノイズ心理学協会会長

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やまね ひろし / Hiroshi Yamane

両親の離婚、熱中していたスポーツの挫折、就職の失敗などを経て、情報誌編集者からノンフィクションライターとして独立。金銭的な成功をつかむものの、激務のあまり過労死寸前で緊急入院。入院生活で「なんのために生きるのか」を模索し、心理療法を学び始める。心の風邪薬のようなカウンセリングを提供したいという想いからカウンセラーになる。実践中心のカウンセリングで一線を画し、8000人以上の悩みを解決。著書『「自己肯定感低めの人」のための本』(アスコム)がメンタル本大賞2021優秀賞を受賞。

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