各地で増える「Suica対応」ローカルバスの利便性 岩手沿岸中部を走るバスは種類が多い・山田編

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この山田町まちなか循環バスは、先述のやまだコミバスともまた別。山田町が岩手県北バスと連携して休日以外に運行しており、とくに気にしなければ、岩手県北バスの運転系統の1つとしか見えない。2020年4月の運転開始で、陸中山田駅をターミナルとして、町の中心部を8の字に走り、浜川目や道の駅やまだまで足を延ばす便もあった。 

運賃は大人1回200円。乗車した時は、2021年6月1日改正ダイヤで、平日はまちなか循環ルート、大沢・浜川目ルート、道の駅やまだルートが、それぞれ1日2便ずつ走る。

2022年5月2日には、ふたたびダイヤ改正が行われ、道の駅やまだには乗り入れなくなるなど、細かい変更が繰り返されている。全般的に山田町内の路線バスは、まだまだ震災後の整理、整備途上との印象だ。被災後の状況の変化に応じつつ、手を加えている。今後、まだ変化があるだろう。とくに高齢化に伴う運転士不足は、各種のバスの並列的な運行に、遠からず影響を与えるはずだ。

鉄道代行輸送で道の駅やまだに乗り入れていた岩手県交通=2019年3月22日(筆者撮影)

時間があるので、三陸鉄道リアス線の運転開始に合わせて整備された、陸中山田駅とその周辺を観察する。山田町の中心部も津波で壊滅的な打撃を受けた。

復興に当たっては陸中山田駅周辺を中核地域と位置づけ、スーパーマーケットなどの商業施設や山田郵便局、JA新いわてなどの金融機関、公共施設などを集めた。駅前のロータリーにはバスとタクシー乗り場を設け、鉄道の運転再開まで駅は立ち寄らなかった宮古駅前―船越駅前間の幹線バス系統も山田駅前経由に変わっている。

地域の中心に建つ陸中山田駅

陸中山田駅そのものも再建され、山田町ふれあいセンター「はぴね」、山田町立図書館との合築駅になっている。駅舎内には居心地のいい列車、バスの待合室が設けられ、バスの発車時刻案内も完備。ただ、やまだコミバスだけは、紙の時刻表を掲示して対応していた。

大沢川向に到着する岩手県北バス宮古駅前行き(筆者撮影)

時間になって岩手県北バスが現れ、Suicaをタッチして乗車。この時は、大沢川向までは宮古駅前行きとほぼ同じルートで、国道45号線を走り、海沿いに右折して浜川目へ向かった。沿線にはまだ空き地が目立ち、防潮堤の整備も完全には終わっていない。

浜川目14時51分着。この東側には巨大な重茂半島が横たわっている。本州最東端の魹ヶ崎(とどがさき)がある半島で、過疎地でもあり、バスの系統は宮古市内となる石浜まで途切れる。三陸鉄道や国道45号は半島の付け根を横切って津軽石へと抜ける。

国道沿いの大沢川向バス停までは歩いて20分ほどなので、折り返しのバスは見送り。散歩を楽しんで、大沢川向15時58分発の宮古駅前行きをつかまえ、豊間根、津軽石を経由し宮古市内に入る。重茂半島へは、津軽石駅に近い川帳場から分かれる路線バスで向かう。

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土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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