25年に共通テスト化「情報Ⅰ」を社会人は解けるか プログラミングより求められる問題解決の視点

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新学習指導要領で「情報Ⅰ」が新設された背景には、日本経済団体連合会が提言した「Society5.0」という日本の未来社会のコンセプトがあります。

Society5.0とは、人類のこれまでの社会が5つの社会(①狩猟社会→②農耕社会→③工業社会→④情報社会→⑤?)と4つの産業革命(第1次産業革命<軽工業>、第2次産業革命<重化学工業>、第3次産業革命<自動化・情報化>、第4次産業革命<デジタル革新>)を経て、社会が変化していったことを表したものです。

「情報Ⅰ」で学ぶスキルは、社会に必要とされる力

これからの日本社会では、進化したAIがさまざまな判断を行ったり、身近な物の働きがインターネット経由で最適化されたりするIoTが広がったりすることでデジタル革新が続き、Society5.0が到来すると予想されているのです。

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こうしたデジタル革新を起こすためにも、IT人材の育成は急務となっています。しかし2019年に経済産業省が行った「IT人材需給に関する調査」によると、2030年には、最大で約79万人のIT人材が不足すると言われています。

また、ITスキルがある人材が単に増えればいいというわけではなく、Socity5.0の社会では「課題解決」と「価値創造」ができる人材の育成が必要とされています。新しいテクノロジーであるAIやIoTについて理解しているだけではなく、これらをツールとして活用し、自らが考えた新しい発想やアイデアで具現化できる人材の育成が必要となるのです。

全国の小中学校や高校でも、1人1台端末環境下での学びが始まりました。これからの時代を生きる若者が、「情報Ⅰ」でITスキルとともに問題を発見・解決する力を育み、社会を変える力を身につけられることを願っています。

鎌田 高徳 神奈川県立横浜国際高等学校情報科教諭

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かまだ たかなり / Takanari Kamada

神奈川県立横浜国際高等学校情報科教諭。宮崎県都城市出身。前任校の神奈川県立茅ケ崎西浜高等学校では、平成28・29年度「国立教育政策研究所」教育課程研究指定事業(共通教科情報)の研究指定を受け、生徒の主体性を引き出すことを追求。「身近で楽しそうな題材」を設定することにこだわっており、生徒からは「シンプルで具体例があってわかりやすい」と好評を博している。文部科学省が発行した高等学校情報科「情報I」「情報II」の教員研修用教材や、『高等学校情報科教科書』(日本文教出版)にて執筆も行う。情報教育の推進に全力を注いでおり、日本中の情報科の先生と情報交換を行い、授業研究や教材研究に邁進している。

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