25年に共通テスト化「情報Ⅰ」を社会人は解けるか プログラミングより求められる問題解決の視点
それでは、「問題解決」の流れに沿って、具体的に情報Ⅰで学ぶ内容を見ていきましょう。
たとえば、中学3年生向けに高校の学校説明会のポスターを作ったとします。学校の売りは「多彩な選択科目」としています。しかし、実際に学校説明会に行こうとしている受け手(中学3年生)からすると、それ以外の特徴が知りたいようです。
このように、情報を作った作り手と、情報を受け取る受け手の間にあるギャップが問題となるケースがあります。これは、ユーザーが本当に欲しい情報を、作り手が理解していないために起こります。
つまり情報の作り手は、ユーザー(この例なら中学3年生)をしっかりと理解したうえでポスターを作らなければなりません。これを「ユーザー理解」と言いますが、これはプログラミングやデータの活用においても、非常に重要な考えです。
たとえばアプリを開発するプログラミングの過程でユーザー理解が不十分だと、ユーザーにとって使いにくいアプリになってしまいます。ユーザー理解が不十分なままデータを活用してグラフを作成しても、そのグラフはユーザーにとって意味のないものになってしまいます。
ユーザー理解に「ペルソナ」を活用
ユーザー理解をするための方法のひとつが「ペルソナ法」です。ユーザーの調査(オブザベーション)を行い、集めたデータを元に仮想のユーザーである「ペルソナ」を作る方法です。ペルソナを作成し、そのペルソナを満足させるようなポスターとはどのようなものかをよく考えることで、ユーザーの心を揺さぶるようなポスターを作ることができるようになります。
本格的なペルソナを作るのは大変なので、高校の授業内では簡易ペルソナを作ることが多いです。まず生徒たちは、自分が中学生だったころ(ユーザーの立場だった頃)を思い出しながら、下の例に沿って簡易ペルソナを作ります。
次に、「定量データ分析」と「半構造化インタビュー」を行います。定量データ分析では、学校パンフレットなどに書かれている定量(数値)データから読み取れる特徴をまとめます(どの地域からの入学者が多いかや、生徒の通学手段など)。半構造化インタビューとは、事前にインタビューする質問を決めておきつつ、インタビュー中にその内容に沿って質問をふくらませていきながらインタビューする手法のことです。在校生に、高校に入学した目的や、進学すると決めたときにどんな感情だったかなどをインタビューしてまとめていきます。
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