「トラック運転手→火葬業」男性が見つけた"天職" いったいなぜ25歳でこの道へ進んだのだろうか

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志賀さんは、火葬場に勤務する前は「作業着のおじさんが、薪で人を焼いているようなところ」というイメージを抱いていた。だが、そのイメージは、配属初日で良い意味で裏切られた。施設内は整理整頓も行き届き奇麗で、また、新しい施設であったため、炉室には、近代的な火葬炉が並び、外観・内観も美術館のようにスタイリッシュだったそうだ。

しかし、火葬業務は難しい仕事であったことに加え、当時の火葬業務員は50代以上がほとんどだったことから、「ご喪家様から、こんな若い子に勤まるのだろうかという不安な眼で見られているのをひしひしと感じました」という。

また、多人数の前で話すことに慣れていなかったため、「言葉はたどたどしく、収骨する箸を持つ手も震えていて、当時のご喪家様方にはご心配をおかけしていたと思います」と志賀さんは当時を振り返る。

それでも、辞めずに火葬業務員として続けられたのは、仕事を習得していくに連れ、やりがいも増していったからだ。

「収骨まで終えてご喪家を送り出す時に、『本当にありがとうございました』『あなたにやってもらって良かった』などと思いのこもった感謝の言葉をいただけるようになりました。そうした言葉をいただける仕事というのはなかなか無いと思いますので、仕事の励みになり、やりがいになります。

自分が良かれと思って対応したことが、時にクレームになることもあり、グリーフケアとはとても難しいことですが、このようなお言葉をいただけると、すべて吹っ飛びます。その時、この仕事は自分の天職と実感するようになりました」

天職と感じるようになった志賀さんは、火葬場2カ所で火葬業務を20年間続けた。

火葬場の業務は大きく3種類

火葬業務の内容は、大きく3種類に分けられる。「受入れ」「火葬」「収骨」の3つだ。「受入れ」は、霊柩車で搬送されてきた遺体をあずかり、告別室と呼ばれる部屋で、遺族・会葬者に故人と最後のお別れをしてもらったあと、火葬炉に案内して、棺を火葬炉に収めるまでの業務。

「火葬」は、文字通り遺体の火葬を行う業務。「収骨」は、火葬が終わって喪家が収骨し、骨壺に入れる「骨上げ」の世話をする業務である。火葬業務員は、これらの3種類の業務を、ローテーションを組んで輪番で行うのが一般的になっている。

これらの火葬業務の中で、火葬業務員のプロとして最も重視していることは何かを尋ねると、志賀さんは「来場されるご喪家の状態を火葬前と火葬後に分けますと、火葬前はまだ死を受け入れられない状態の方が多いのに対し、火葬後は“あきらめがつく”という意味も含めて、死を受容される方が多くなります。そこで、火葬前のご喪家への対応を特に重視しています」と話す。

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