「日本消滅」を避けるために取るべき未来への戦略 楽天・三木谷氏とサイバー藤田氏からの提言

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三木谷:グローバルスケールでビジネスを考える力を磨くこと。これが出発点ですよね。

最近、楽天シンフォニーという会社で通信事業者向けのプラットフォームの輸出を始めたのですが、予想を上回るペースで世界中から注文を受けて、すでに3500億円規模の事業に成長しています。

うれしい半面、「これは日本人だけだったらできなかったな」という敗北感もあるんです。(楽天モバイル新CEOの)タレックや、彼と一緒にやっているセールスパーソンのように、グローバルスケールでビジネス戦略を練られる人物がいたからこそできたことだなと。やっぱりそういうリーダーがいる企業に、巨大な資本が集まってくる。アマゾンやテスラの成功例を見てもそれは明白です。

けれど、今の日本の経営者の実力が、世界の巨大企業の経営者に全然敵わないかというと、決してそうではないと僕は思っています。悲観することはない。実力差はあるかもしれないけれど、サッカーで言うところの日本のストライカーとメッシほどの差はないでしょう(笑)。

藤田さんもハリウッドに引っ越しましょう

藤田:たしかに、わかりやすい例ですね(笑)。

三木谷:ちょっとした考え方とか工夫とか経験の差とか。その程度の違いだと思っています。

藤田 晋(ふじた・すすむ)サイバーエージェント代表取締役/新経済連盟副代表理事。1973年、福井県生まれ。株式会社サイバーエージェントを98年に創業し、2000年に史上最年少社長(当時)として東証マザーズに上場。インターネット産業で高い成長を遂げる会社づくりを目指し、「21世紀を代表する会社を創る」をビジョンに、新しい未来のテレビ「ABEMA」、インターネット広告、スマートフォンゲームなど革新的なビジネスを数多く手がける。一般社団法人Mリーグ機構代表理事

藤田:環境の違いもありますね。

三木谷:そうです。グローバル基準でものを考えられる優秀な人材が集まる環境で切磋琢磨していたら、自然とグローバル思考が身に付きますよね。

ソニーがグローバル企業になれたのは、創業者の盛田昭夫さんが一時期ニューヨークに拠点を移し、世界の最先端ビジネスが集まる環境に身を置いた経験が大きかったはずです。

ということで、藤田さんも世界のメディア産業に挑むなら、そろそろハリウッドに引っ越しましょう。

藤田:僕ですか(笑)。三木谷さんは結構、アメリカに行っていますよね。

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