「日本消滅」を避けるために取るべき未来への戦略 楽天・三木谷氏とサイバー藤田氏からの提言

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三木谷:間違いないですよね。経済が発展するには人口増が必須の基盤となります。日本人が増えるための少子化対策はもちろんやっていくべきだけれど、それだけでは全然足りない。となると、次なる打ち手はやはり移民政策になる。でも嫌がる人が多いですよね。

三木谷:今の時点ではそうですが、変わる可能性は十分にあります。

郵政民営化のときもそうでしたが、日本人はかなり保守的とはいえ、短刀を首に突きつけられて「未来のために、どっちか選べ」と迫られたときには正しい選択をする力があると思っています。

衰退を選ぶのか、発展を選ぶのか。未来のビジョンを提示して選択を迫るリーダーが出てきてほしいと願うばかりです。

日本と世界との実力差はそれほどない

藤田:世界に挑んで、勝てるスタートアップを日本からもっと生み出すために必要なものは何か。

僕は、それが進まない理由として、「日本の市場がそこそこ大きい」という背景があるんじゃないかと感じています。国内である程度稼ぐことができるから、ドメスティックな戦略に向いてしまうのではないかと。

コンテンツ産業はまさにその傾向が顕著だと思うのですが、日本向けの作品をつくっていれば、ある程度視聴されるからそこで満足してしまう。

でも世界に目を向ければ、グローバルで観られることを前提に巨額の予算を投じているハリウッドやNetflixが非常に伸びていて、圧倒的な差をつけられている。

この「市場規模そこそこ問題」から脱する必要があるのではないでしょうか。英語圏のグローバル市場で稼ぐことを前提に戦略を練ってうまくいったら、相当数字を上げられるだろうなと。僕もそうなりたいと夢を見ているわけですが。

三木谷浩史(みきたに・ひろし)楽天グループ代表取締役会長兼社長/新経済連盟代表理事。1965年神戸市生まれ。一橋大学卒業後、日本興業銀行に入行。ハーバード大学にてMBA取得。興銀を退職後、1996年クリムゾングループを設立。1997年エム・ディー・エム(現・楽天グループ)を設立し、同年インターネット・ショッピングモール「楽天市場」を開設。楽天野球団代表取締役会長兼オーナー、楽天ヴィッセル神戸代表取締役会長、東フィルハーモニー交響楽団理事長
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