子どもを「怒りそう」になったらまず取るべき行動 指示を聞かない子と「ごっこ遊び」するのも手

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「子どもを叱ってはいけない」とは言うけれど、どうすれば叱らないですむのでしょうか(写真:yoshan/PIXTA)
ドイツのベストセラー『怒らないをやってみた子育てライフ』の著者で科学ジャーナリスト&メンタルヘルスの専門家ニコラ・シュミット氏は次のように言います。「子どもを叱ってはいけないと言われますが、それはなぜでしょうか? それは効果がなく、子どものためにならないからです」
叱ることは今や多くの研究によって効果がないことが証明されています。しかし、子どもがぐずったり、言うことを聞かなかったりしたときにどうしても怒ってしまう。では、どうすれば叱らないですむのか? 
「ダメだとわかっていても叱ってしまう理由」とその理由から導き出した「叱らない子育てへの方法」を4回にわたりお届けしていきます。
1回目「「ストレスだらけの親」が子に対し有害になる理屈」(4月28日配信)
2回目「仕事と育児で限界な親が自分をうまく「許す」コツ」(5月2日配信)
3回目「「大きな声で叱る」が子どものしつけに逆効果な背景」(5月10日配信)

親が「してほしいこと」をして手本になる

私たちはみな、心から子どもたちのことを思っています。自分たちができなかった経験を子どもたちにさせてあげようと一生懸命です。

さて、わが家の子どもは今日、2時間もテレビを見ることを許されました。ところがテレビを消そうとすると、子どもは怒りをあらわにして、リモコンを投げつけてくるありさまです。もう我慢なりません!

私たち親が、このような展開を好ましく思わないのは当然です。子どもは社会的なルールが存在すること、そしてたったいまそれを破ってしまったことを理解する必要があります。どうしたら子どもたちは、このことを学んでくれるのでしょうか?

ひとつの方法は、「冷静になる」ことです。子どもにルールや約束のことを思いださせると同時に、腹を立てている子どものことを真剣に受けとめます。子どもの気持ちに理解を示したうえで、いますぐできることを伝えます。

たとえば、「危ないから、リモコンを投げるのはやめて! 本気で怒っているのね! 9歳にもなって、誰かに勝手にテレビを消されたら、怒らずにはいられないわよね。その気持ちはわかるわ。でも約束したでしょう? ほら、外はいいお天気よ? テレビを見る前に決めたように、外で遊ぼう。明日になったら、またテレビを見られるんだから」というように。

これは、衝動的な行動を起こした子どもに対する冷静な反応の例です。テレビ、お菓子、タブレット、ゲーム、いずれも子どもの脳にとっては大きな挑戦です。フラストレーションとの付きあい方もまた大きな課題です。

私たちは、こういうときに取るべき行動、区切りのつけ方を子どもに教えていくのです。そして、いらだちを覚えたときに、それを誰かにぶつけることなく対処していくためのお手本を示していきましょう。

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