子どもを「怒りそう」になったらまず取るべき行動 指示を聞かない子と「ごっこ遊び」するのも手
ある日の午後、子どもたちとプールで遊んだあとのことです。疲れて、お腹も空いていました。
駐車場に停めてあった車へ向かう途中、一瞬気を抜いた隙に、子どもたちはすぐ横の公園のジャングルジムへ向かって駆けだしていました。でもこの日は、子どもたちを遊ばせる時間がありませんでした。車を共有している祖父母が、そのあと車を使う予定になっていたからです。
「今日は急いでいるの! お願いだから、いますぐ戻って!」と叫びましたが、子どもたちの耳には届きません。怒鳴りたいところでしたが、プールのあとで子どもたちも疲れがたまっているはずなので、協力的な態度は期待できません。
どうすればいいか途方に暮れました。ふたりをジャングルジムから強引に引きずり下ろす選択肢がないことだけは確かです。
遊びの要素を取り入れてみる
そこで、遊びの要素を取り入れることにしました。まず、子どもたちのところへ行き、「何してるの? ママも一緒に入れて」と話しかけました。子どもたちは「宇宙ごっこ」をしていて、私は宇宙飛行士のペットの猫、という設定になりました。仕方ありません。猫の役を引き受け、しばらくのあいだ、飼い主の指示どおりに動いていました。そして満を持して叫びました。
「緊急事態発生! 後方から流星群が接近中!」と。子どもたちはすぐに乗ってきました。
「流星群だ! 大変だ!」
「安全な場所へ避難よ!」
とつぜんの流星群の発生に、宇宙飛行士たち(と猫)は、あわただしく砂場を横切り、シーソーやブランコを超えて走りました。
ですが、駐車場から離れてしまっては何の意味もありません。そのとき、名案を思いつきました。
「全員、脱出カプセルへ! 脱出カプセルへ移動!」と子どもたちへ伝えながら、リモートキーで我が家の愛車サーブ900のドアの鍵を開閉してライトを繰り返し点滅させました。黒い車が、本当に私たちを待っているスペース・グライダーのように見えてきました。
「そうだ、脱出カプセルへ乗りこもう!」子どもたちも叫びました。私たちは脇目もふらず車へ向かってダッシュし、ドアを大きく開けて、最後の力をふりしぼって、車の中へ飛びこみました。息を切らしながら、私も叫びました。
「シートベルトを締めて! カウントダウン開始です! 5、4、3、2、1……」
ここで車のエンジンをかけました。
「全員シートベルトを締めていますか?」
「締めてるよ! すぐにスタートして! 流星が来ちゃう!」
子どもたちもあわてながら、シートベルトを締めています。
「ゼロ! 発進!」
駐車スペースから車を発射、ではなく発車させました。私たちは非常食(リンゴ)をほおばりながら笑い、帰途ずっと、大惨事をうまく抜けだした自分たちをほめたたえました。
この宇宙ごっこにかかった時間はわずか10分足らずです。約束の時間に、祖父母に車を渡せたことは言うまでもありません。
このように怒ってしまう気持ちをぐっと抑えて子どもとつながって楽しむ工夫をしてみると親であるあなたの株も上がるかもしれません。いつも必ずうまくいくわけではないのですけれど……。
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