仕事と育児で限界な親が自分をうまく「許す」コツ イライラの根本原因は子どもでなく生活スタイルだ

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親の62%が「時間に追われている」と感じています(写真:よっし/PIXTA)
ドイツのベストセラー『怒らないをやってみた子育てライフ』の著者で科学ジャーナリスト&メンタルヘルスの専門家ニコラ・シュミット氏は次のように言います。「子どもを叱ってはいけないと言われますが、それはなぜでしょうか? それは効果がなく、子どものためにならないからです」
叱ることは今や多くの研究によって効果がないことが証明されています。しかし、子どもがぐずったり、言うことを聞かなかったりしたときにどうしても怒ってしまう。では、どうすれば叱らないですむのか? 
「ダメだとわかっていても叱ってしまう理由」とその理由から導き出した「叱らない子育てへの方法」を4回にわたりお届けしていきます。
前回:「ストレスだらけの親」が子に対し有害になる理屈」(4月28日配信)

いつも「焦っている」親たち

いつも急いでいる、焦っている、時間に追われている――親の62%が、これが自分たちの日常だと答えています。

心配事に関するアンケートに回答した親のうち、経済的な問題を挙げた人はわずか37%、幼稚園や学校に関連する問題を挙げた人は30%にすぎませんでした。これは、ドイツの子育て・教育雑誌『エルテルン(両親)』の委託を受けて調査会社フォルサ(Forsa)が実施した調査の結果です。

1000人の大人と子どもに、それぞれの生活状況についてたずねています。10人のうち4人は、家族もしくは周囲からのサポートが少なすぎると答えています。

その一方で、「最もストレスを与える要因は何か?」という問いに対して、母親の半数、そして父親の3分の1が、「自分で自分に課した要求によってストレスを受けている」と回答しています。

これに僅差で続くのが、社会的な規範、つまり「完璧な子ども」を育てなければならないという、絶えず私たちにつきまとうプレッシャーです。
そのあとに、雇用者、メディア、余暇、親族などからのプレッシャーが並びます。

調査対象となった女性の4分の3が、頻繁に、あるいはときどき母親としての自分に満足できないことがあると答えています。男性では3分の2が、自分は父親としての役割を十分に果たせていないと考えています。

親たちは、ソーシャルネットワークからもストレスを受けています。10人中4人の親が、SNS上で、現実とは異なる自分を表現しようとしていると述べ、回答者の3分の1は、SNSは時間泥棒であると訴えています。

次ページ親たちに、何が一番助けになるかとたずねたところ
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