「大きな声で叱る」が子どものしつけに逆効果な背景 言うことを聞かない子を前にどんな反応が適切か

子どもがぐずったり、言うことを聞かなかったりしたときにどうしても怒ってしまいます。どうすれば叱らないですむのでしょうか? (写真:sasaki106/PIXTA)
ドイツのベストセラー『怒らないをやってみた子育てライフ』の著者で科学ジャーナリスト&メンタルヘルスの専門家ニコラ・シュミット氏は次のように言います。「子どもを叱ってはいけないと言われますが、それはなぜでしょうか? それは効果がなく、子どものためにならないからです」。
叱ることは今や多くの研究によって効果がないことが証明されています。しかし、子どもがぐずったり、言うことを聞かなかったりしたときにどうしても怒ってしまう。では、どうすれば叱らないですむのか?
「ダメだとわかっていても叱ってしまう理由」とその理由から導き出した「叱らない子育てへの方法」を4回にわたりお届けしていきます。
第1回:「ストレスだらけの親」が子に対し有害になる理屈」(4月28日配信)
第2回:「仕事と育児で限界な親が自分をうまく『許す』コツ」(5月2日配信)
駄々をこねる子へのストレス反応
私たちは子どもに「お行儀よくしなさい、恥ずかしいでしょう!」と言います。
スーパーマーケットでよくあるケースを見てみましょう。
午後5時半、夕ご飯の材料を買いに子どもと一緒にスーパーマーケットに来ています。するととつぜん、棚に並んでいるぬいぐるみがどうしても欲しいと言って子どもが騒ぎはじめます。なだめても聞かないので、無理矢理レジの方向へ連れていこうとしますが、ついにスーパーの床にひっくり返って叫びはじめました。
横を通りすぎる年配の女性が「最近の親は子どものしつけもできないのね」と冷ややかな言葉を残します。スーパーの店員も、いらだちを隠せない表情でこちらを見ています(1日中働いて疲れているのでしょう)。恥ずかしさのあまり、顔が赤くなります。
羞恥心は大きなストレス反応を引き起こしますから、誰でもこのプレッシャーから一刻も早く解放されたいと願います。
大半の人にとって、午後5時半という時間帯は、その日の疲れがたまってきているころです。私たちのシステムも、すでに正常に動作していません。泣き叫ぶ子どものおかげで、さらなるストレスを感じます。
ストレスは、私たち自身の気質やそのときの気分によって異なりますが、以下のような内なる対話を引き起こします。
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