というのも、ゼレンスキーは演じただけではありませんでした。自ら企画し、制作プロデュースしたのです。制作プロダクション「クバルタル95(Kvartal 95)」を2003年に立ち上げ、演者としてだけでなく、ドラマやバラエティー番組のクリエーティブプロデューサーとしての肩書も持っていました。放送された当時、ウクライナ国内のテレビ局で最も視聴率を獲得した「国民の僕」はクバルタル95の代表作でもあります。全3シーズン、49話で構成され、長編映画も作られています。
Netflixとは2016年に契約
海外展開にも積極的です。「国民の僕」はアメリカのメジャーネットワークが初めてライツを獲得したウクライナ発ドラマでもあります。またNetflixとは配給会社のEccho Rights (エコーライツ)を通じて2016年に契約が交わされ、その当時、クバルタル95の共同設立者として、ゼレンスキーがこのように公式コメントを発表していました。
「Netflixが全世界の権利を獲得したウクライナのドラマのプロデューサーであることを大変誇りに思います。この契約は、ウクライナが世界中に配信できる優れたコンテンツを制作できることを世界に示すと同時に、ウクライナのプロダクションに新たな機会をもたらすものです。ストーリーは普遍的で、世界中の人々が理解できるもの。Netflixの視聴者も楽しんで見てくれると信じています」
どの時代も、誰もが理解できる作品に、本人の信念も込められているとなると、本人と重なる部分があるのは決して偶然ではなく、必然的なものだったと理解せざるをえません。新たにゼレンスキーの生涯そのものを描いた伝記コミック『Political Power』(英語版)が5月18日より発売されたところでもあります。ウクライナの平和を願いながら、ソフトパワーの価値を活用するリーダー像から学べることは多いはずです。
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