事件に迫る新聞記者役のヒロインは米倉涼子
Netflixと映画製作会社のスターサンズが共同企画製作したNetflix作品『新聞記者』が1月13日から全世界独占配信されました。森友・加計学園問題をめぐる公文書改ざん事件に踏み込んだ意欲作として知られる2019年6月公開映画『新聞記者』を連続ドラマ化したものになります。Netflixドラマ版として作った狙いとは何でしょうか。
映画『新聞記者』に対する評価は高く、第43回日本アカデミー賞の最優秀作品賞を含む主要3部門を獲得したほか、多くの映画賞を受賞しました。興行収入は累計で6億円超えと、単館系のヒット作です。それゆえ話題になったことを保険にNetflixが共同投資したと考えるのは短絡的かもしれません。ドラマ版として描くべき価値があるテーマがあったからです。
Netflixドラマ版の主演は闘うヒロイン役が板についた米倉涼子を起用しています。
映画版がもともと東京新聞所属の望月衣塑子記者が取材体験をもとに執筆した同名の著作を原案に映像化されていますから、Netflixドラマ版でも丹念に粘り強く取材を続ける記者の姿を描いています。ただし、職業ドラマでもなければ、決めぜりふもありません。米倉演じる東都新聞 社会部記者・松田杏奈が公文書改ざん事件の真相をひたすら追います。
一方、政権側のシーンは暗澹(あんたん)たる雰囲気が漂い続けます。その中で、組織の倫理に翻弄される重要な役回りの村上真一役が綾野剛です。映画版で松坂桃李が演じた若手官僚の立場を演じています。
また改ざん作業を強いられた公務員を吉岡秀隆、意図せず事件の当事者となった妻の役を寺島しのぶが好演しています。
そして、映画版になかった若者の視点がNetflixドラマ版には加わりました。横浜流星が演じる新聞配達をしながら大学に通う就活生・木下亮役がそれを担っています。この多視点によって、事件そのものの是非を問う以上に、テーマ性を強めています。
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