「やる気のある社員」から会社を辞める当然の事情 社員は3つの欲求が満たせないと離職を考える

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社員はこの3つの欲求を満たしてくれる会社、すなわち十分な給料を払ってくれて、良好な人間関係の中で、周囲が自分のことを認めてくれて、自分を成長させてくれる会社で働きたいと思っています。

このうちのどれか一つでも満たされなければ、それが離職の理由となり得ます。

給料と離職率の関係でいえば、給料は生存欲求に関するものです。ただ、関係欲求や成長欲求が満たされない場合でも、人は離職を考えます。

また、厚労省の令和2年雇用動向調査結果における「転職入職者が前職を辞めた理由」では、「給料等収入が少なかった」は男性9.4%、女性8.8%と1割に達していません(*2)。

そのため、よほど給料が低い場合を除き、「離職率の高さの原因は給料にある」という考え方は短絡的と言わざるを得ないでしょう。

では、離職率を下げるため、関係欲求や成長欲求を満たすにはどういう関わりが必要なのでしょうか。

相手を認めるコミュニケーション

関係欲求を満たす関わりとしては、相手を認めるコミュニケーションをとることが重要です。

具体的には、入社・退社時は挨拶をする、話を丁寧に聴く、共感を示す、感謝やねぎらいの言葉をかける、優れた点や努力の跡が見られる点は褒めるといったことが挙げられます。

ある会社で、同じ仕事をしているのに、ある社員は仕事が面白くないと話し、ある社員は仕事が面白い、やりがいを感じると話していました。

仕事の好みの問題もあるかもしれませんが、両者には明確な違いがありました。

それが、上司の認めるコミュニケーションの有無でした。

前者の上司は部下を一切褒めることがなく、ただ指示を出すだけでした。後者の上司は良くできている点を褒め、「ありがとう」の言葉をこまめにかけていました。

仕事の内容は変えられないから、「仕事に面白さややりがいが感じられない」といった理由で離職されるのは仕方ないと思っている方もいらっしゃいます。

ただ、仕事の面白さややりがいは仕事の内容だけで決まるものではありません。

上司のこういった言葉がけの有無によっても大きく変わるものである、ということを理解しておくことが重要です。

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