「やる気のある社員」から会社を辞める当然の事情 社員は3つの欲求が満たせないと離職を考える

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成長欲求を満たす関わりとしては、目標設定と成功体験、フィードバックが重要になります。

ある程度困難な目標が設定され、それをクリアすると達成感が得られます。この達成感によって成長が実感でき、強くモチベーションが高まります。

また、「ずいぶん仕事が早くなったね」「お客様へのプレゼン、うまくなったな。落ち着きも出てきた」などのように、成長の跡を上司が言葉でフィードバックすることでも、自分の成長を感じることができます。

意識の高い社員を離職させないコツ

特に意識の高い社員は成長欲求を重視し、年収を下げてでも成長できる企業に転職するケースも少なくありません。

意識の高い人材こそ会社の将来を担う人材であり、こういった人材の離職は会社にとって大きなダメージとなります。

ある30代後半の男性は、年1,500万円以上の給料をもらっていながら、その会社を辞め、年収1,000万円で別の会社に転職しました。年収を500万円も下げてでも転職した理由を聞くと、彼はこう答えました。

「このままこの会社にいたら自分の成長はない。そう感じたから辞めようと思いました。成長が感じられない仕事をやりながら歳をとるのは本当にもったいないことだと思うんです」。

このように、離職率は給料の内容だけで決まるわけではありません。そのため、私は離職率が高いと悩まれる社長には、次の質問をしています。

・辞められた方は、御社の中で良好な人間関係を築けていましたか?
・上司の方は、その方を認めるコミュニケーションをとっていましたか?
・その方が成長を実感できるような仕事の任せ方、関わり方をしていましたか?

すると、ほとんどの社長はできていなかったと答えます。これらの取り組みをしていないままに、高い給料が払えないから離職率が高いのは仕方ないと諦めていたわけです。

給料を上げなくても、離職率を下げることはできます。そのためにも関係欲求、成長欲求の観点から、人が職場に何を求めているのかを考え、それを満たす関わりをしていただければと思います。

*1「令和2年雇用動向調査結果の概要」
*2「令和2年雇用動向調査結果の概要(転職入職者が前職を辞めた理由)」
藤田 耕司 経営心理士、税理士、心理カウンセラー

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ふじた こうじ / Koji Fujita

一般社団法人日本経営心理士協会代表理事、公認会計士、税理士、心理カウンセラー。これまで1200件超の経営相談を受け、心理学と会計を活用した経営改善を行う。その経験から経営者の心理、部下の心理、顧客の心理を分析し、経営心理学として体系化することで経営改善の成果を高める。また、経営心理学を学ぶ「経営心理士」の資格を創設。経営心理士講座の受講生はのべ5000名を超え、その内容は大手企業や省庁でも導入される。著書に『リーダーのための経営心理学』(日本経済新聞出版社 日本、台湾、韓国の3カ国で出版)、『経営参謀としての士業戦略』(日本能率協会マネジメントセンター)。

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