75歳以上安楽死容認、映画「PLAN 75」に込めた狙い 社会に蔓延する自己責任論への憤りがきっかけ

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6月17日から新宿ピカデリーほか全国公開の『PLAN 75』。現代の“姥捨て山とも言うべき架空の制度”「プラン75」を巡る物語だ(東洋経済オンライン読者向けプレミアム試写会への応募はこちら) ©2022『PLAN 75』製作委員会/Urban Factory/Fusee

少子高齢化が著しく進んだ近未来の日本で、75歳以上の高齢者を対象に、国の支援のもとで安らかな最期を迎えるという、いわゆる安楽死の権利を認め、支援する制度「プラン75」が提唱された。超高齢社会がもたらす、諸問題の解決策を模索していた社会は、一気に歓迎ムードに包まれた――。

初の長編監督作品がカンヌ映画祭に招待される

6月17日に新宿ピカデリーほかにて全国公開予定の映画『PLAN 75』は、現代の“姥捨て山とも言うべき架空の制度”「プラン75」から、生きることの意味を問いかける衝撃作だ。

6月7日(火)~9日(木)に独占オンライン試写会を実施します(上記画像をクリックするとオンライン試写会応募画面にジャンプします)

新鋭・早川千絵監督の長編初監督作でありながら、本年度カンヌ国際映画祭「ある視点」部門での上映が決定している。カンヌ国際映画祭といえば、1983年に同映画祭でパルムドール(最高賞)を獲得した今村昌平監督の映画『楢山節考』が、姥捨て山伝説を描いた作品として知られているが、およそ40年の時を経て、同映画祭に出品されることとなった本作でもそのテーマの類似性を指摘されるなど、注目の作品となっている。

本作の主人公は、夫と死別して以来、誰に頼ることなく、長らくひとりで暮らしてきた78歳の角谷ミチ(倍賞千恵子)。ホテルの清掃業をなりわいとしていた彼女は、同世代の仲間たちと寄り添うように、つつましく生きてきた。

だが同僚の稲子(大方斐紗子)が勤務中に倒れたのを機に、彼女の暮らしは一変する。「高齢者を働かせるなんてヒドいじゃないか」という世間からの叱責の声は、ミチたち高齢従業員の解雇という最悪の結末をもたらす。さらに団地の取り壊しも決まり、ミチは仕事と住居を同時に探さなくてはならなくなる羽目に。だが高齢者であることを理由に、断られ続ける日々。次第に追い込まれていったミチは、ついに「プラン75」の申請を決意する。

作品は当事者であるミチたちの視点だけでなく、磯村勇斗、河合優実らが演じる「プラン75」を遂行する側に立つ若者たちの視点も交えて描き出されている。当初は杓子定規的な対応を心がけ、上司からは「情が移るから対象者とは交流を持つな」と言われていた彼らだが、ひょんなことから「プラン75」の対象者たちと接点を持つこととなり、それぞれの思いが交錯。やがて自分の行動に疑問を抱くようになる。

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