BtoB企業が「広報」に苦戦するのは至極当然の訳 メディアが報じる会社とそうでない会社の差
そして、記事掲載がもっとも難しいのが、「業界No.1ではないBtoB企業」です。特に規模が小さい中小企業の場合は、前向きなニュースではほぼ報道してもらえません。
厳しいことを言うようですが、こうした企業は、メディアにとってはニュース価値の「ランキング外」に位置します。
これまで挙げてきた企業に比べて、読者や視聴者との関係性が薄いため、「知りたい」ニーズがそもそもあまりありません。日本経済や株価指数への影響力も小さいです。そのため経済記者ですら、自分が担当していない業界なら、上場している会社の社名を知らないこともよくあります。
業界トップではないBtoB企業は、広報担当が頑張らなければ前向きな記事はほぼ報道されませんし、それでもメディア側はまったく困りません。もちろん、広報担当者がいくら頑張っても、やり方が間違っていれば報道という形で取り上げられることはないでしょう。
上場企業でもまったく取り上げられない会社も多い
「上場企業はみんな有名なはずだ。記者は上場企業をありがたがり、取材したいに決まっている」という思い込みもよく聞きます。しかし、実際にはどうでしょうか?
「自社が上場しているにもかかわらず、知名度は上がらず、メディアからもさっぱり関心を持ってもらえない」と嘆いている上場BtoB企業の広報担当者は、かなりたくさんいらっしゃいます。
もちろん、上場企業はそれぞれが、市場が設定した基準を満たした立派な会社でしょう。しかし、メディア側が取材をし、記事としてその会社のことを取り上げたいかどうかは、それとはまったくの別問題です。
実際に、私が企業の広報担当者を対象にした講演をさせていただくと、上場企業の方からも「なかなか記事で取り上げてもらえない。どうしたらよいか」という相談を受けることが頻繁にあります。
こうした状況は当然とも言えます。単純に、上場企業の数が多いためです。
日本取引所グループによると、2022年4月時点で国内の上場企業は約3800社、プライム市場への上場企業だけでも1840社ほどもあります。
一方で、たとえば新聞に記事が掲載されている企業の数は何社くらいあるでしょうか? 新聞の中で企業ニュースが掲載される面は、紙面全体の10分の1以下です。しかも、1つの面に掲載されている記事は10数本にすぎません。1日の紙面で掲載できる企業数は、せいぜい数十社~100社程度でしょう(人事情報は除きます)。
紙面は全企業に平等に配分されているわけではありませんので、注目されている企業は広報担当がそれほど努力しなくても、何度も記事掲載されます。
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