誰のためのMBOか 問われる“上場”の意味

拡大
縮小


 すかいらーくでは06年にMBOが成立。だがその後結果が出ずに5期連続の最終赤字に陥った。経営は野村プリンシパル・ファイナンスに掌握され、創業家の横川竟社長(当時)は解任されている。

かように経営者と投資ファンドとの“ハネムーン期間”は短い。ファンドと共同のMBOは、小口で多数の一般株主が、大口特定のファンドに交代するにすぎない。お互い方針が合ううちはいいが、実績を出せないと、プレッシャーもかかる。銀行から借金して経営者単独で行っても、相手は株主から債権者へと代わるだけで、逃げ場などない。

西山賢吾・野村証券シニアストラテジストは「上場廃止で外の目が入らないと、経営の規律は緩む」と警告する。

再び注目され始めたMBO。都合のいいときに上場し、悪くなると上場をやめるのでは、企業は再生せず、投資家も日本から逃避するだろう。「会社は誰のものか」という根本的な問いを、経営者は突き付けられている。


◆カルチュア・コンビニエンス・クラブの業績予想、会社概要はこちら

[+画面クリックで詳細チャートを表示 <会員登録(無料)が必要です>]


(企業経営取材班 撮影:尾形文繁 今井康一 =週刊東洋経済2011年2月19日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT