フランスでも、「行き過ぎた風刺」は論点に 表現の自由は、無制限の自由ではない
イスラム教預言者ムハンマドの風刺画を繰り返し掲載してきたフランスの風刺週刊紙「シャルリ・エブド」が、1月7日、イスラム教過激主義者でアルジェリア系移民2世の男性たちに襲撃され、12人が殺害される事件が発生した。続けて発生した連続テロで、9日までに17人が亡くなった。過去50年で最悪と言われるテロに見舞われたパリを訪ね、関係者に話を聞いた。
今回は、フランス社会党のエレーヌ・コンウェイ=ムレ上院議員に、政教分離の仕組みや政治に何ができるかを話してもらった。同議員は第2次エロー内閣(2012年8月~14年3月)で外務大臣付在外フランス人担当大臣を務めた。
誰も予期していなかった
――最初にこの事件を知ったとき、どのように受け止めたか。
大きなショックと悲しみに襲われた。長い間、テロの恐れがあるということは言われてきたが、パリの中心街でしかもフランスの言論の自由の象徴を攻撃する形で発生するとは誰も予期していなかった。同時に、怒りの感情もわいてきた。私たちは民主主義社会に生きている。この社会では人には言論の自由があるはずだーもちろん限界はあるけれども。
――シャルリ・エブドの風刺画がイスラム教を冒涜し、過度に挑発的だったことへの批判も一部であるようだが。
フランス国外では理解が難しいかもしれないが、この国では冒涜は違法とは考えられていない。ただ、憎悪や殺害を犯すことを扇動する言論は法律で罰せられる。
1905年に政教分離法が施行された。国家は公の分野になる。公的組織が国民の毎日の生活を運営する。フランス人にとって政教分離の国家に住んでいることの意味は、共和国の市民として法律を順守し、規則を守り、慣習や価値観を維持すること。
政教分離法の第1条で信仰の自由が保障されている。どんな宗教も信仰して良いし、同時に信仰しなくても良い。個人個人の選択による。宗教はプライベートな生活の領域に入る。
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