日本電産、永守流「爆買い戦略」のすごみ 2030年度の売り上げ目標は10兆円!

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こうした施策により、2012年3月期第3四半期には売上高1563億円、営業利益68億円だった同事業は今第3四半期には売上高3332億円、営業利益264億円まで成長。全売り上げの44%を占めるまでに至った。さらに、12年以来買収してきた8社のうち6社は海外企業。海外M&Aを繰り返すことを通じて売り上げの地域的な分散も進んでいる。

自動車や家電のスマート化が進む中で、電子部品メーカーは目下、車載や家電向け事業開拓に力を入れているが、日本電産では一足先にその成果が実っていると言える。同社では今後も積極的なM&Aを仕掛けることで、2016年3月期の車載用営業利益を330億円に伸ばす目標を掲げている。

GPMは鯛より大きかった

今回の決算説明会では、こうした戦略のもと、昨年12月に買収した独車載用ポンプ大手ゲレーテ・ウント・プンペンバウ(GPM)についても言及。買収発表時には同社を“鯛”とたとえていたが、22日の決算会見では「鯛だと思っていたが、実際にはもっと大きな魚だった」(永守社長)と手応えを語った。

また、この会見では事業をパズルにたとえて「2030年に10兆円」への展望も語られた。現状のモーターメーカーからM&Aを使ってピースを埋めていき、最終的にはBtoC参入も含めたグローバル電機メーカーになるのが”完成図”だという。

しかし、今後すぐにBtoC参入は考えていないようだ。「アセンブリメーカーに営業利益率5%以上がほとんどない事から分かるように、BtoCは儲からない。ただ、キーコンポーネントを自社で作れたら価値はある。まずはキーコンポーネントメーカーになる事が先決だ」(永守社長)。

決算会見では「これまでは最終製品需要による大きな業績アップダウンがあったが、今後伸びていく分野は収益性が計算しやすく、地域的にも分散している。10年連続増収増益、そういった会社になる」とも語った永守社長。V字回復を果たし、今後は安定成長を続けられる体制を構築できたとの見立てだが、「永守王国」はこのまま順調に10兆円への階段を上っていけるだろうか。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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