日本電産、永守流「爆買い戦略」のすごみ 2030年度の売り上げ目標は10兆円!

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2030年には10兆円を目指す構想を語った日本電産の永守重信社長(写真は2014年12月の独社買収会見、撮影:今井康一)

「ゼロから100億円、100億円から1000億円とやってきたが、大体よく似た年数がかかっている。そして今回1兆円にきた。2030年度、10兆円を目指していく」。1月22日に行われた日本電算の第3四半期(2014年4月~12月期)決算説明会で、永守重信社長は上機嫌でこうブチ上げた。

実際、業績はきわめて好調だ。今第3四半期の売上高は前年同期比16.6%増の7537億円、営業利益は同30.5%増の807億円と過去最高を更新。営業利益は7四半期連続増益を達成した。これを受けて2015年3月期通期の業績も上方修正。売上高は1兆円、営業利益は1100億円と、売り上げはついに1兆円の大台に達する見込みだ。

 迅速な事業の多様化が奏功

これに対して、永守社長は「第3四半期は非常に大きな分水嶺、ここが第2の成長期の起点になる」とコメント。これは、単に売り上げ見通しが1兆円になったからというだけではない。磐石な収益体制が整ったことを指している。

一つは既存事業の環境好転だ。これまで、日本電産の主力事業はパソコンに搭載されるHDD向けと、デジカメ向けの小型精密モーターだった。しかし、SSDによる代替やパソコンそのものの需要停滞によって収益が減少。デジカメ向けもコンデジ市場の急激な縮小の影響をモロに受けていた。こうした要因により、2013年3月期の営業利益は176億円(前年比76%減)と、大幅な減益を余儀なくされていた。

が、この2つの市場がおおむね底打ちになったようだ。むしろ、HDD市場については好転しているという。「サーバー向けなどのノンPC向けが今伸びている。これらの市場はもともと採算が良い上に、技術が必要になる。競争相手に出来ない製品が増えていることによってウチのシェアが上がっている。それが来期以降は顕著になるだろう」(永守社長)。

もう一つは、事業の多様化が順調に進んでいることだ。日本電産では近年、特定事業への過剰な依存から脱却を図るために、車載や家電、産業向けモーター事業の開拓を強力に推進。2012年以来買収してきた8社のほとんどはこの分野の会社だ。買収した会社の技術と自社技術を組み合わせる事でモジュール製品を売ることと、これまでモーターを使ってこなかった分野をモーターで置き換えることで事業を拡大してきた。

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