キングダムに学ぶ「権力闘争」現代にも通じる本質 64冊一気に読破した小島武仁・東大教授が解説
東洋経済オンラインでは、期間限定で大人気漫画『キングダム』の序章を無料で公開中だ(こちらからご覧ください)。2000年以上前の中国で縦横無尽の活躍を見せるキャラクターのなかには、後に始皇帝となる若き王・嬴政(えいせい)など実在の人物も含まれる。
経済学を専門とし、漫画やアニメを愛好する東京大学の小島武仁教授は『キングダム』既刊64巻を最近、一気読みしたという。アメリカのハーバード大学で博士号を取得し、前職はスタンフォード大学の教授、現在は東京大学マーケットデザインセンターのセンター長も務めながら、精力的に研究活動を行っている小島教授。経済学者は『キングダム』をどう読んだのか。
後編では、30話以降の具体的な展開にも触れながら語る。
秦の中枢で行われる権力闘争がいちばん面白い
――前編は、『キングダム』の魅力に加え、経済学の視点を取り入れながら「レピュテーション」の問題や、「低成長」に関してお話ししていただきました。ここからは、『キングダム』の大きなテーマの1つ、「国のあり方」について伺いたいと思います。
『キングダム』は他国との戦いを中心にストーリーが進みますが、僕がいちばん面白いと思ったのは、秦の中枢で行われる権力闘争です。
『キングダム』序盤は、若くして王となった嬴政(えいせい)に対するクーデターを軸に展開しますが、以降も嬴政の立場は盤石とはいえない。他国との戦争と同時に、後の始皇帝である嬴政が自陣営の味方を増やし、勢力を拡大していくという戦いが進行している。それは、商人から強大な権力者にのし上がった呂不韋(りょふい)との戦いの過程でもあります。
2人の戦いのクライマックスともいえるのが、39〜40巻で繰り広げられる舌戦、嬴政と呂不韋の国家論です。
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