乃木坂46「過渡期を迎えた清楚アイドル」の現在地 乃木坂らしさとは何か?という議論が渦巻く

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さて、ここで乃木坂46楽曲の作曲家に着目してみましょう。まず前提として、リリース前からミリオンセールスが見込まれる、大人気アイドルグループだけに、多くの「才能」から「勝負曲」が贈られているということがありますが……。

その中で最重要人物と目されるのは、杉山勝彦。先述の『きっかけ』『君の名は希望』、そして1位の『サヨナラの意味』、7位の『制服のマネキン』という4曲はいずれも、彼が作曲したものです。

1982年生まれでフォークデュオ「TANEBI」のギタリストとしても活動する杉山は、この他にも『僕は僕を好きになる』『ごめんねFingers crossed』『最後のTight Hug』などの人気曲を手掛けていて、産みの親である秋元康から「本当の天才」と評されるほど。

杉山の作る曲は、生楽器を多用した、しっとりとした質感を持つものが多く、現在確立されている乃木坂46の楽曲イメージを作り上げたと言っても過言ではないと思います。

また、作詞はご存知の通り、全て秋元康が手掛けているわけです。上掲にランクされた楽曲をはじめ、その歌詞を分析してみると、「別れは新たな出発点」というテーマを持つ『サヨナラの意味』『帰り道は遠回りしたくなる』や、「つまらない日常からの脱却」というテーマの『きっかけ』『制服のマネキン』などに加え、「自己肯定感を高めろ」「広く隣人を愛そう」「希望を持ち続けよ」という、青年期の若者へのメッセージが多いというのも、乃木坂46楽曲の特徴です。

さらに、女性アイドルにも関わらず、歌詞の一人称が「僕」、二人称が「君」という歌詞が多いのも特筆すべき点。当然と言えば当然ながらターゲットを若き男性に置いていることの証左であり、同時にその世界観を作り上げているように思います。

“乃木坂らしさ”の正体

という具合に、筆者なりのアプローチで“乃木坂らしさ”の最大公約数は何かを掘り下げてみました。上述したものに加え、バラエティ番組などで彼女たちが見せる「健気さ」「懸命さ」「純粋さ」や、メンバー個々の醸し出す「儚さ」「切なさ」が強いというのも乃木坂46のイメージかもしれません。これらを踏まえた上で、今回の論議の発火となった点にお話を戻します。

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