名門中学進学のため父を残し引越した家族の決断 6年伴走した両親が最後に見たわが子の成長

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「お母さん、その学校はすごく自由な校風なんだって。なんか、校則もないんだって!」

「好きな数学とかの面白い授業がいっぱいあるんだって」

「入りたいな~、あの学校」

普段は口数の少ない息子だが、志望校のことを話すようになっていた。それからというもの、健太さんの目の色は明らかに変わり始めた。家に帰っても自分から机に向かい、勉強をすることが増えてきた。

「授業が難しくなってきたというのもあったとは思いますが、目標が定まったことがやる気をおこさせたのだろうと思います」

新幹線で移動し、宿泊して受験へ

12月、いよいよ出願が迫る。塾ではさまざまな説明会が行われた。健太さんの暮らす県から志望校までは新幹線を使って3時間はかかる。だが、前述のとおり、健太さんが在籍するクラスはいわばこの学校を目指す子が在籍するクラスだ。当然、多くの生徒が出願をするため、例年はツアーが組まれるという。

塾の最寄りにある新幹線の駅に集合し、そこからは塾の講師が引率、受験する学校近くのホテルに泊まり、みんなで試験会場に向かうという。勉強ができるようにと1人部屋を用意するため、当然、心細くなる子もいる。

「“毎年泣き始める子もいますが、そこはサポートしますので安心してください”と、講師の方たちには言われました」(和美さん)

ワンフロアを貸し切りにしてドアを開けたままにし、顔見知りの講師が巡回することでその不安を和らげているという。河崎家の場合は驚くことに、このツアー料金もすべて塾持ちだったという。もちろん、河崎家はこの学校が第一志望校、受けないという選択はないため、早速申し込みをした。

ところが、このコロナ禍だ。「受験する場合は各自で会場へ向かっていただくことになりました」という連絡が受験の直前になって入ったのだ。ただでさえあわただしく過ごす受験期間。もしかしたらという気はしていたが、まさか本当にこんな事態になるとは思いもよらなかった。新幹線の駅から学校までは距離もあるため、日帰りは考えられない。慌てて自分たちで宿を押さえて本番の日を迎えた。

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