日テレ「悪女」麻理鈴は30年前の同作と何が違うか 打倒すべき偏見は性別より人を上下に隔てる価値観

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水曜ドラマ「悪女(わる) ~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」(日本テレビ系 水曜よる10時~)は日テレの水曜ドラマの基本である働く女性を生き生きと描いたドラマのテッパンと言っていい。

“できない、でもめげない”主人公・田中麻理鈴(今田美桜)が就職した大手IT企業オウミで出世を目指して奮闘する物語。麻理鈴は入社早々、半地下の備品管理課という窓際の職務に追いやられるが同じ部署の先輩・峰岸(江口のりこ)のアドバイスを受けて、じょじょに上階の部署に上がっていく。つまり出世していく。

1992年に同じく日テレで放送された同作品のリバイバルだが、主人公・麻理鈴の立ち位置や描かれ方は、30年という時代の移り変わりとともに変わらない部分と違っている部分がある(東洋経済オンライン編集部撮影)

備品管理課→人事部→マーケティング部→125周年記念プロジェクトチームとトントン拍子に職種が華やかになっていく麻理鈴。とはいえ彼女はつねに雑用係のような立ち位置で、周囲に期待されていない。むしろ彼女のなにかと首をつっこみ口をはさむ態度は邪魔に思われている。

“できない、でもめげない”が大事

自分を“田中”と呼び、初対面ではまず「麻理鈴(まりりん)」の由来を説明し、社内をドタバタと駆け回る姿が確かにうるさいが、“できない、でもめげない”麻理鈴はあっけらかんとしている。演じる今田美桜が漫画キャラのように明るくサバサバしていて、どれほど雑に扱われても、視聴者がしんどく思う間を与えず、さくさくと悪意をたたき落としていく。そこが痛快だ。“できない、でもめげない”が大事。

「悪女」は1988~1997年にかけて長期連載を誇った深見じゅんの傑作漫画が原作で、1992年(平成4年)には石田ひかり主演で日本テレビがドラマ化し人気を博した作品だ。以下は、石田ひかり版を平成版、今田美桜版を令和版と呼ぶことにする。

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