「五月病」を撃退するツボと養生、漢方薬の活用術 季節の変わり目は「気」と「胃腸」に注意を払おう

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もう1つは、自律神経を整える「百会(ひゃくえ)」です。百会は頭のてっぺんにあるツボです。指で押すとズーンと響きます。緊張が続き首や肩が凝っている場合、頭皮も硬くなっていることが多いものです。

頭がボーッとして考えがまとまらないようなとき、頭皮全体を指の腹でやや強めに押すように刺激してから髪を洗うのがおすすめです。

外出の予定がない日におすすめなのは、オイルを使ったセルフケアです。オリーブオイルまたは太白ごま油をコットンに染み込ませて百会に置き、落ちないようにヘアバンドや包帯のようなもので固定して数時間置くと、頭がスッキリします。インドの先生から教わった治療法ですが、メンタルケアにもよいようです。

ツボの位置(イラスト右:ナミッコ、左にしやひさ/PIXTA)

胃腸を整えて気を巡らす漢方薬の代表的なものは、香蘇散(こうそさん)です。保険適用となっている漢方薬で、一般用医薬品として市販もされています。

気を巡らす代表的な漢方薬「香蘇散」

香蘇散は特に日本で多く使われていて、漢方の名医といわれる曲直瀬道三(まなせ・どうさん)をはじめ、歴代の医師がさまざまな使い方を記載しています。例えば、江戸時代の香月牛山(かつき・ぎゅうざん)は著書『牛山活套(ぎゅうざんかっとう)』で次のように書いています。

「香蘇散は気を散じ、気を快し、 鬱を散ずるの剤なり。耳鳴り、頭痛、眩暈(げんうん)や咳嗽(がいぞう)、痰喘(たんぜん)、腹痛、瘧疾(ぎゃくしつ)などを治す」

これは、風邪のごく初期や気が滞ったときに気を巡らせる「理気剤(りきざい)」の働きがあるということです。

入っている生薬は、香附子(こうぶし)、蘇葉(そよう)、陳皮(ちんぴ)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)です。香蘇散という名前は、構成生薬の香附子の香、 蘇葉の蘇に由来しています。

香附子以外の4種類の生薬は、蘇葉はシソの葉、陳皮はミカンの皮、生姜はショウガで、甘草はしょうゆをはじめとする多くの食品の甘味料に入っています。いずれも食品としても馴染みの深いものです。それぞれの生薬の薬効を理解しておけば、単独でも食養生に応用することができます。

蘇葉(シソの葉)は、体を温める作用や解毒作用があります。

刺身にシソの葉が添えられるのは、胃腸を温めて魚介類の食あたりを予防する効能があるためです。さわやかな香りで気の巡りがよくなるため、メンタルケアの漢方薬に含まれることも多いです。気分が鬱々とするときには、シソの葉をメニューに取り入れるといいでしょう。

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