「母親との関係に苦しむ人」が見逃している現実 その違和感の正体は「共依存」かもしれない…

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こうした母親に対しては、「私は○○だと思う。理解してくれるとうれしい」「お母さんがそういう考えなのは理解した。でも、私はこう考えている」と、自己主張をすることが大切です。ただ、意思表示が、単なる「反発」と受け止められてしまうと言い争いに。あくまでも穏やかに感情的にならずに 「お母さんの意見もしっかり受け止めている。けれどそのうえで私の意見も聞いて」と、気持ちを伝える一言を添えるといいと思います。

このタイプの母親にはエネルギッシュで努力家な人も多いため、健全な関係性をたもてれば、娘にとっては「尊敬できる人生の先輩」として頼れる存在にもなりえます。

②マイナス思考全開の愚痴ばかりの母親

「どうせ」などの悲観的発言が多く、「あなたはお母さんのことなんてどうでもいいのね」などの自虐的発言が止まらないなど、会えば愚痴のはけ口にされるようなケースです。子どもは、母親なんだから「聞いてあげなければ」という気持ちから頑張るのですが、同じことの繰り返しには限界が来ます。また、問題なのは、ネガティブ思考は伝播(でんぱ)するものだということです。愚痴に付き合っているうちにマイナス感情に呑み込まれ「お母さんがつらいのは、私がきちんと対応してあげられないせいだ」などと自責感情にさいなまれてしまうケースさえあります。

こうした母親に対しては、「お母さん、頑張ってるよ。○○なところはすごいと思うよ」などのねぎらいの声掛けです。ネガティブ思考に走る要因の一つは、承認してくれる人がいないから。あまりにも深刻な場合は物理的に距離を置くのもありですが、基本的には具体的なねぎらいの言葉が有効です。つい感情的になって「いいかげんにして」などと拒絶してしまうと、「誰かに認めてほしい」と思っている母親をさらに拒絶することになり、状況が悪化しかねません。ネガティブに偏りがちな視点から、ポジティブにとらえることに気づいてもらえるような関わりができるといいですね。

事前相談はせず、事後報告に徹する

また、何でもかんでも口出ししてくるような母親であれば、事前相談はせず、事後報告に徹しましょう。それでも否定的な意見やダメ出しを受け、嫌な思いをするのなら、事後報告も最小限に。子ども側も自分の状況や考えを、親に認めてほしいという気持ちから、報告や連絡をすると思います。しかし、いつも同じパターンで苦しめられているのであれば、思い切って心理的な距離を保つことが大切です。

自らも親に依存している部分がないか振り返り、割り切ることも必要です。急に関係性を変えることは難しいですが、自分の意識を変化させていくことによって、じょじょに心の負担を軽くしていきましょう。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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