霞が関の外から政策を変える「起業家」たちの正体 日本でも注目が集まる政策起業家の活動とは?
今、「政策起業家」という言葉が注目されている。
政策起業家とは、行政・議会の外から民間の立場で政策に影響力を与えていくプレイヤーのことだ。
この言葉を初めて聞く人も多いかもしれないが、認知度は徐々に上がっている。たとえば、病児保育を展開する認定NPO法人フローレンスの代表理事である駒崎弘樹氏は今年、小規模保育の規制緩和や男性の産休創設に至るまでの自身の政策提言の経験などを綴った『政策起業家』(ちくま新書)を出版した。
さらに、NPO法人SETの三井俊介代表理事は豪モナシュ大学のミントロム教授が執筆した『政策起業家が社会を変える:ソーシャルイノベーションの新たな担い手』(ミネルヴァ書房)の翻訳本を出している。
政策起業家たちの功績
政策起業家という言葉自体はけっして新しいものではない。海外では、ジョン・キングダンの公共政策の古典とも言える1984年の『アジェンダ・選択肢・公共政策』にこの言葉が登場しており、事例としては1974年に米CBO(議会予算局)を設立したエコノミストのアリス・リブリンや、2000年代に英国で医療制度改革に尽力した外科医アラ・ダルジ卿などは「政策起業家」と評されている。
そして国内においても、「政策起業家」という言葉こそ浸透していないが、在野から政策に影響力を与えてきた人々はいつの時代も存在していた。例えば、小泉政権において民間登用の大臣として改革を主導した竹中平蔵氏、民主党政権下で内閣府参与として貧困対策を進めた湯浅誠氏、大阪都構想のブレーンである上山信一氏などがそれに該当するだろう。彼らは、党派に関わらず、民間の立場から(時には政府内部の役職に就きながら)政策に影響力を与えてきた。
そして筆者自身、こうした活動をした経験がある。新型コロナウィルスの蔓延が深刻化した2020年5月、緊急事態宣言下で保育園が休園した未就学児を持つ親や子どもたちの苦境について、アンケート調査をもとに自治体や議員に提言をした。現在は、シンクタンクにおいて政策起業家のコミュニティ運営にも携っている。
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