ピアニストになった26歳彼女の原動力は「楽しさ」 ショパン国際ピアノコンクール入賞・小林愛実

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だからこそ、理想とするのは今も昔も「音楽を続けること」。ピアノを弾き続ければそれで十分だと目を輝かせる。

小林さん:これから何が起きるかわからないけれど、私の人生においては「音楽家であり続けること」が大事なのかなって。

時には音楽に集中することから外れてしまいそうになる場面もあると思うけれど、それでも自分の中心に音楽があるようにコントロールしていきたいし、それが大事だと考えています。

苦悩の時間を救った、両親の一言

だが、すべてが順風満帆に見える小林さんにも苦悩の時間はあった。

国内外で演奏活動を行っていた18歳のとき、自分の音楽が何なのか、自分がどう生きたいのかがわからなくなり、初めて壁にぶつかった。

小林さん:それまでは無敵だと思っていたんですよ。だからあの時は本当につらくて、3年間ぐらい悩みました。

怖くてピアノを弾くことすらできなくなってしまって。私の人生でいちばんの挫折だったと思います。
(写真:赤松洋太)

本当に自分はピアノが好きなのかと自問自答し、一時はピアノをやめようとまで思い詰めた。踏みとどまったのは、「いつでもピアノをやめていい」という両親の一言だった。

小林さん:その言葉で、スッと楽になったんです。

ピアノを続けるかはわからないけど、どうせなら挑戦してみようと思って出場したのが前回のショパンコンクール。

そこで私はやっぱりピアノやコンサートが好きなんだと気づけました。

それ以降、ピアノは自分自身が好きで、自分のために弾いているものになった。「今はもうピアノが苦になることはない」と清々しい。

小林さん:昔はピアノを演奏すること自体が楽しくて、ただピアノを弾いていました。でも今は音楽を理解して弾けるようになったんです。

音楽の深さを知って、それを追求するのが楽しくなりました。
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