ピアニストになった26歳彼女の原動力は「楽しさ」 ショパン国際ピアノコンクール入賞・小林愛実

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そして、その思い込みをさらに補強するのが演奏前のルーティンだ。

お気に入りのネックレスを付け、ハンカチを持ち、舞台に上がる少し前にチョコレートを数粒食べて、必ず人にポンと背中をたたいてもらう。

「私は神頼みでピアノを弾いているんです」と冗談交じりに教えてくれたが、彼女が何よりも大切にしているのは、自分自身を信じてあげることにほかならない。

小林さん:私のいちばんの味方は自分だから、「私ならできる」って自分くらいは信じてあげないと。自信を持つには思い込みが本当に大事だなと思います。

日々を積み重ねた先に「理想の舞台」はやってくる

成熟した音色で世界中の音楽ファンを魅了し続ける小林さん。日本が誇る若き逸材は今、プロの演奏家としてどうあるべきだと考えているのか。

(写真:赤松洋太)
小林さん:プロだからといって有名である必要はないし、お金を稼ぐ能力が必要なわけでもない。

私が理想とするのは、自分が表現したい音楽を追求し続けることであって、それに対してどこまで真摯に向き合えるか。

どれだけ自分の音楽に自信と責任、プライドを持てるか、なんじゃないかな。

その理想を求めて、小林さんは今日もまたピアノに向かう。

小林さん:1つひとつ、すべての音に意味を込めて最後まで大切に弾くことや、作曲家や作品と真摯に向き合い、リスペクトを持って演奏すること。

それはこれからも変わらずにやり続けていきたいと思っています。

18歳の頃からアメリカを拠点に活動していた小林さんは、さらに研鑽を積むため、今年からフランスに拠点を移す。環境はもちろん、学校や師事する先生も変わり、新たな日々が待ち構えている。

小林さん:たとえ環境が変わっても私がやることは同じで、ピアノの練習を日々コツコツと積み重ねること。

そうやっていれば、自分が弾きたい場所での演奏会や共演したい演奏家の方々とご一緒できる機会も訪れるはず。

人生は長いから焦らずに、これからも自分らしい音楽、自分にしかできない演奏を追求していきたいですね。
(写真:赤松洋太)
ピアニスト 小林 愛実さん
1995年山口県宇部市生まれ。3歳からピアノを始め7歳でオーケストラと共演、9歳で国際デビューを果たす。2013年よりフィラデルフィアのカーティス音楽院に留学。15年、20歳のときに第17回ショパン国際ピアノコンクールに出場し、ファイナリストに。21年、第18回ショパン国際ピアノコンクールで第4位入賞。

取材・文/モリエミサキ 撮影/赤松洋太 編集/天野夏海

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『Woman type』編集部

「Woman type」は、キャリアデザインセンターが運営する情報サイト。「キャリア」と「食」をテーマに、働く女性の“これから”をもっと楽しくするための毎日のちょっとしたチャレンジをプロデュースしている。

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