林原のはがれたメッキ、ウソの上塗り30年
銀行関係者によると、経営状況が急速に悪化したのは88年から2001年。この間、赤字隠蔽のための不正会計が行われ、有利子負債も約1000億円増加。うち、研究開発費に300億円、土地購入にも同額を充当。
トレハロースなどが軌道に乗った01年以降は、黒字に転換しても、身の丈を超えた過去の過剰な投資が首を絞めたようだ。メインの支援だけでは手に負えず、ADR申請に向かった。
紛糾した債権者集会
ADR成立には、再建計画に対し、全銀行の合意を取り付ける必要がある。しかし銀行間には温度差があり、当初から難航が予想された。当日出席した債権者によれば、中国銀行や準メインの住友信託銀行がADR申請直前に担保保全に走ったことに、みずほ銀行など他行から批判の声が上がった。
1時間の協議後に休憩をはさみ、再開直後に、「銀行間の調整は困難」との理由で、林原側からADRを取り下げ、会社更生法へ移行することが伝えられた。
事態の急展開に、「調整はこれからのはず」「出来レースか」など、下位行から不満が噴出。休憩時間中には、取引銀行の支店にADR取り下げの書面がファクスで届けられるなど、粛々と事態が進行していた。
会社側の説明では、ADR申請が明るみに出て以降、仕入れ代金の支払いなど取引条件が一気に悪化。商品提供もままならない状況で、調整に時間をかけられないと判断した。