「日本車が9割の国」で見たBEV&中国車の躍進 バンコクモーターショーはコロナ禍も熱気十分

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各メーカーのブース内に広い商談スペースが設けられ、バンコク近郊から集められたセールススタッフを投入。モーターショー限定の低金利キャンペーンなどを行うことで、購入意欲をあおっている。

そして、それを目当てに多くの人が来場するのだ。家族でモーターショーを訪れ、クルマを予約する様子を見ることも珍しくない。

休憩所のように見えるが、よく見れば各テーブルで商談が行われていることがわかる(筆者撮影)

受注予約台数の多さも驚きで、2022年は3月21日のVIPデーと3月23日から4月3日までの一般公開で、3万3936台にものぼったという。

その内訳は、1位がトヨタで5128台、以下ホンダ(3019台)、マツダ(2906台)、いすゞ(2594台)、三菱(2553台)と続くが、6位にMG(2324台)がランクインしたことに注目したい。

また、GWMは1520台だったが、日産の1620台に迫っているのが興味深いところだ。「会場内で得た受注予約のうち約10%がEV」と主催者は説明する。

販売の場だから開場時間は22時まで

もう1つのアイデアは、一般公開日を22時までオープンとしていることだ。仕事が終わってからモーターショーへ出かけても、ゆっくりと展示を見られるというわけである。

そのかわり会場オープンが昼の12時と遅めだが、そもそも平日午前中の来場者は多くない。遅くまで会場にいられるほうが、じっくりクルマを見られるし商談もしやすい。来場者としてのメリットは、大きいだろう。

東京モーターショーのオープン時間も、ぜひバンコクのように後ろへスライドすることを提言したい。お台場という都心近くでの開催のメリットを生かして「平日夜のモーターショー」を推進するのは、モーターショーのプレゼンス向上に役立つのではないだろうか。

会場にはこんなクルマも。1969年に登場した日産「スカイラインGT-R」だ(筆者撮影)

ところで、バンコク国際モーターショーの会場内は、タイ語や英語に加え、日本語のアナウンスも流れている。その理由をかつてモーターショーの主催者に尋ねたところ、戻ってきた答えは「タイの自動車産業を発展させ、自動車文化を作ってきた日本の自動車メーカーへのリスペクト」とのことだった。

果たしてこの先も日本の自動車メーカーは、タイで今まで通りの存在感を示すことができるのだろうか。バンコク国際モーターショーは、タイに進出している各メーカーの勢いが現れている。現地における日本車の存在感を判断する風見鶏のようなイベントとしても、興味深い。

工藤 貴宏 自動車ライター

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くどう たかひろ / Takahiro Kudo

1976年長野県生まれ。大学在学中の自動車雑誌編集部アルバイトを経て、1998年に月刊新車誌の編集部員へ。その後、編集プロダクションや電機メーカー勤務を経て、2005年からフリーランスの自動車ライターとして独立。新車紹介を中心に使い勝手やバイヤーズガイド、国内外のモーターショー取材など広く雑誌やWEBに寄稿する。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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