自分らしいキャリアが見つかる「心の声」の聞き方 本当の「やりたいこと」を知った2人のプロ対談

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齋藤:そうやって内省した結果、自分の中に「絶対にやりたい何か」はなかったんです。一方、周りには「どうしてもこれがやりたい」というものを持っている人がいっぱいいて、それに対して自分が得意とするビジネスのクリエイティブでわかりやすく役に立てる。

しかもそれが自分にとって楽しいことだと気づけたから、「これでいいじゃん」って思えたんでしょうね。

篠田:楽しいと思えたことが大事だったのでしょうね。でも、山にこもって1人で内省してその境地に至る人は稀有だと思います。

人に聞いてもらうことで自分を理解する

篠田:多くの人はそう簡単に「これだ」というものはつかめないじゃないですか。私もいろいろな人に話を聞いてもらって、都度感じていることを頑張って言語化した結果、それが蓄積されて自分を理解できたように思っていて。周りの人が鏡になってくれた感覚があるんですよね。

篠田氏(左)と齋藤氏。盛り上がった対談は2時間近くにおよんだ(撮影:梅谷秀司)

齋藤:わかります。僕も基本的には壁打ち相手がいたほうがいいタイプですね。

ただ、僕の悩みは誰にも通じていないんですよ。「自分が勝たせたんだ」とか「フォーブス載りたい」とか、ともすればちょっと自慢話っぽくなっちゃうし、そもそも恥ずかしい(笑)。

篠田:太郎さんには多動なイメージがあるのに、動と静でいうところの「静」を選んだことも意外な感じがします。「そうしなきゃ」という切迫感があったんでしょうね。

齋藤:本当はものすごく寂しがり屋だから、1人で山にこもるのは嫌だったんですけどね。それでも連絡をシャットダウンして追い込んで、「俺は何をしたいんだ?」を紙に書き出して。夜は月を見ながら1人でたき火してベロンベロンに酔っ払って泣く、みたいな(笑)。

山奥で何やってるんだろうって感じだけど、そうやって無理やり自分に向き合いましたね。また悩むようなことがあったらやろうと思っています(笑)。

(構成:天野夏海)

篠田 真貴子 エール取締役

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しのだ まきこ / Makiko Shinoda

エール株式会社取締役。社外人材によるオンライン 1on 1を通じて、組織改革を進める企業を支援している。2020年3月のエール参画以前は、日本長期信用銀行、マッキンゼー、ノバルティス、ネスレを経て、2008年〜2018年ほぼ日取締役CFO。退任後「ジョブレス」期間を約1年設けた。慶應義塾大学経済学部卒、米ペンシルバニア大ウォートン校MBA、ジョンズ・ホプキンス大国際関係論修士。人と組織の関係や女性活躍に関心を寄せ続けている。『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』『ALLIANCE アライアンス――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』監訳。『まず、ちゃんと聴く。コミュニケーションの質が変わる「聴く」と「伝える」の黄金比』巻頭言ほか。

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齋藤 太郎 コミュニケーション・デザイナー/クリエイティブディレクター

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さいとう たろう / Taro Saito

慶應義塾大学SFC卒。電通入社後、10年の勤務を経て、2005年に「文化と価値の創造」を生業とする会社dofを設立。企業スローガンは「なんとかする会社。」。ナショナルクライアントからスタートアップ企業まで、経営戦略、事業戦略、製品・サービス開発、マーケティング戦略立案、メディアプランニング、クリエイティブの最終アウトプットに至るまで、川上から川下まで「課題解決」を主眼とした提案を得意とする。サントリー「角ハイボール」のブランディングには立ち上げから携わり現在15年目を迎える。

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