自分らしいキャリアが見つかる「心の声」の聞き方 本当の「やりたいこと」を知った2人のプロ対談

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篠田:それは私にとって印象的な出来事で、「やっぱり大企業は彼のように純粋に『デカイはうれしい』と思える人のための仕組みなんだ」という発見がありました。報奨のシステムだって、単に給料が上がるだけじゃなく、職位が上がることがご褒美なわけじゃないですか。

そう気づいたときに、初めて自分の違和感をフラットに受け止められたんですよね。

齋藤:篠田さんが監訳された書籍『LISTEN』にも書かれていた、「自分の声を聞く」ということですよね。その声に気づけない人も多いと思います。

篠田:私の場合、当時2人の子どもが保育園児で、余裕を失くしていたのがよかったのでしょうね。「子どもを預けて仕事をするのに、このビッグビジネスゲームを頑張ってやるのか?」と疑問に感じたことが大きくて。

篠田真貴子(しのだ まきこ)/エール取締役。社外人材によるオンライン1on1を通じて、組織改革を進める企業を支援している。2020年3月のエール参画以前は、日本長期信用銀行、マッキンゼー、ノバルティス、ネスレを経て、2008年ほぼ日取締役CFO。退任後「ジョブレス」期間を約1年設けた。慶應義塾大学経済学部卒、アメリカペンシルべニア大ウォートン校MBA、ジョンズ・ホプキンス大国際関係論修士。人と組織の関係や女性活躍に関心を寄せ続けている。『LISTEN──知性豊かで創造力がある人になれる』『ALLIANCE アライアンス──人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』監訳(撮影:梅谷秀司)

大企業だからこそレバレッジをきかす必要があって、そのために自分の時間の8割を社内コミュニケーションに使うことになる。本来の提案を考える時間は1割くらいしかない。その状態に、まったくワクワクしないことに気づいてしまったんです。

もしゆとりがあったら気持ちにふたをして、「私はこのビッグビジネスゲームをやり続けるんだ」と、無理に自分を納得させようとしていたと思います。

「ほぼ日」を経てジョブレスに

篠田:そんなときにたまたま「ほぼ日」とご縁ができて、「このチャンスは逃しちゃいけない」と思って飛び込んだんです。私はほぼ日ファンでもあったので、そこで仕事ができるのは絶対に面白いと思った。結果10年続いて、本当にいろいろ運がよかったなと思っています。

齋藤:ほぼ日を退職した後は、1年間のジョブレス期間を意図的に作っていましたよね。「ジョブレス」という旗を上げたのがめちゃくちゃいいなと思いました。「今は次の仕事を選びません」というある種の肩書きになりましたもんね。

篠田:プロにそう言ってもらえてうれしいです。ほぼ日を卒業した当時、「うちの会社を手伝わない?」と言ってくださる方がありがたいことにいらっしゃって、それを毎回お断りするのはお互いにとって時間がもったいないと思ったことが「ジョブレス」を掲げるきっかけだったんです。

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