ロールモデルは不要、百害あって一利なし 自分のキャリアは、自分でしっかり考えよう

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逆説的ですが、そのように自分にとってのその都度における旬のベストをフォローすることで、その時々の自分自身のレベル感と考えに合った参考になる方に出会えるのでは、と思います。

その中でキャリア上で参考になると思えば参考にすればよいですし、そうでない場合は反面教師として何かを盗み取る、というくらいのスタンスでよいのではないでしょうか。繰り返しですが、今のように世の中の前提が短い時間軸で変わる時代において、固定的なロールモデルの存在、という考え方自体にも疑問がつく側面もあるのだと思います。そもそもすべてに対応できる完璧な人なんていないと思いますし。

したがって、現時点でそのような存在の方がいないとしてもまったく問題がないと思いますし、無理をして探すようなものでもないのだと思います。

私の周りもロールモデルはいません

私の周りの、自分自身でキャリアを切り開いているみなさんにも聞いてみました。すると、別にロールモデルを持っているわけではなく、おおむね私と同じような考え方のようです。その時々、ベストの努力をしていれば道は開けるし、おのずと自分が考えるうえでひとつの参考になることを言う人にも出会える、とのことです。

いただいた文面からの推測ではありますが、Tさんはキャリアに対する健全な危機感をお持ちの方かと思われます。その危機感を自分自身で持ち続け、努力を怠らない姿勢を貫くことのほうが、下手なロールモデルを手本にするよりも、断然、将来のキャリア上も重要なことなのだと思います。

少なくともそういった危機感を持ち続けていれば、周りにいる方たちや出会った方たちから何を学べるか、ということを自然に考えるのだと思いますし、出会う人の中からそのときのTさんの状況に合ったアドバイスをしてくれる人も見抜けるのでしょう。そしてその結果として、自分の立ち位置や進むべき方向性が見えてくるのでは、と思います。

Tさんはまだ社会人4年目です。どこかに、そして誰かに回答を求めたくなる気持ちもわからなくもありませんが、結局のところ、いちばん参考になるのは過去と現在の自分だったりもします。また、大いに悩む経験が、その後にきっと役に立つはずです。健全な危機感とともに大いに悩みましょう。そしてTさんにとってのベストなキャリアを歩まれるよう、応援しております。 

※安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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