ロールモデルは不要、百害あって一利なし 自分のキャリアは、自分でしっかり考えよう

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たとえば、就職氷河期卒業の人に向かってバブル期入社世代が「最初の会社が重要なんだよ」と言ったところで話がかみ合いませんし、ベンチャーで頑張っている若者に、そういった経験のないオジサンがアドバイスしようにも限界があります。また、仮に転職を積み重ねてキャリアを切り開いてきた年上の方をロールモデルに設定したとしても、その実現可能性は、個々人の持つマインドもさることながら、やはりキャリアのスタートや時々の労働市場などの状況にもよって左右されるものです。

他者との差別化が重要

また、別の視点で考えますと、キャリアを切り開くということを考えるとユニークな自分を作れるか否か、つまり自分自身をいかに他者と差別化できるか、が大きなポイントで、冒頭の私の考えに戻りますと、「意識して他人になろうとしない」ということになります。

私自身はその他大勢とはできるかぎり異なる経験を積むべく、ITバブル崩壊後にベンチャーに飛び込むという「逆張り」発想でやってきました。このやり方こそがその当時の自分自身にとってのベストであるという考えはありましたが、その一方で、そのやり方がすべての人にとっての正解であると思ったことは一度もありません。

そういう意味では、自分の立ち位置を明確にするうえで、反面教師的に周りの方たちを逆ロールモデルとして活用させていただいていた、ということにもなるのかもしれません。繰り返しですが、この場合も特定の個人ではなく世間一般、という意味での周りの方たちです。

また、仕事のスキルを盗むという意味においても、特定の個人からというよりは、時々に所属する企業における「個々の分野におけるナンバーワン」の実力を持つ方から、それぞれのスキルを何食わぬ顔をしてパクらさせていただいた、ということです。

同じ20代でも、20代という時期やそれ以前を過ごした背景や前提が異なれば、キャリア上の軌跡は参考にならない可能性も大ですが、現時点で同じ会社に所属する人のスキル面を参考にするかぎりにおいては、即、自分の仕事にも活用できる可能性は高いですよね。同じ会社や業界に所属するベストから盗むということになれば、なおさらその効用は高いのだと思いますし、私自身そういった発想で怪盗ルパンばりにせっせと盗みを働いてきたわけです。

次ページその都度、目標を持てばいい
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