食べて→吐く「過食症」コロナで増える異変の実際 コンビニで「1回2000円買う人」は要注意

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本当に心配な人はまずは病院で相談したほうがいいのだが、その前に、過食症の傾向を見極めるポイントを立川さんに聞いた。それは、「コンビニで1回あたり2000円以上の食べものを買うようなケースだと、過食症の可能性が高くなる」ということ。

「過食症の人は、手っ取り早く食べられる食材が揃ったコンビニで爆買いする傾向があります。菓子パンやお弁当、パスタやカップラーメンなどの炭水化物をカゴに入れつつ、ジュースやお菓子も手に取る。そうすると、会計が2000円くらいになってしまうのです」

買ってきた菓子パンなどは自宅ですぐに食べ切ってしまうので、冷蔵庫は比較的空っぽになっていることが多いという。

過食症で問題となるのは、食べて吐くという行為そのものだけではない。コンビニで炭水化物中心の食事ばかりをとれば栄養のバランスの偏りが生じるし、吐くことで体に必要なミネラルなども一緒に排出されてしまう。過食する人はうつ病のリスクもあり、体重変動による内臓への負担も大きい。心のカタルシスを得る代わりに、体は大きな代償を払っているともいえる。

そんな過食症から脱却するにはやはり専門家のサポートが必要だ。「自分で食べもののことが1日中頭から離れなくなって、食べることのコントロールが付かなくなったらまずは精神科やメンタルクリニック、診療内科などで相談を」と立川さん。薬物療法や認知行動療法などの心理療法で改善を図っていく。

「ただ、クリニックで治療を受ける時間はわずかでしかありません。残りの時間をどう過ごすかが大事になってきます。食べものについて考えなくてすむように、誰かとおしゃべりをする時間を意識的に持つといいでしょう。食べ吐き以外にストレス解消できる癒やしを見つけることも大事です」

また、ずっと食べたいという欲求をガマンするのではなく、〝チートデイ〟といって「好きなものを食べていい日」を作るなど、完璧を目指さないことも大切だ。

鈴木 理香子 フリーライター

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すずき りかこ / Rikako Suzuki

TVの番組制作会社勤務などを経て、フリーに。現在は、看護師向けの専門雑誌や企業の健康・医療情報サイトなどを中心に、健康・医療・福祉にかかわる記事を執筆。今はホットヨガにはまり中。汗をかいて代謝がよくなったせいか、長年苦しんでいた花粉症が改善した(個人の見解です)。

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