食べて→吐く「過食症」コロナで増える異変の実際 コンビニで「1回2000円買う人」は要注意

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立川さんは、「コロナ禍では、彼女のようなケースは決して少なくない」と話す。

このAさんにもいえるが、コロナ禍の過食に大きな影響を与えているのが、〝カタルシスの喪失〟だという。カタルシスとは、私たちが知らず知らずのうちに抱え込んでいるストレスや不安、恐怖などを、何らかの形で外に排出することで、心が落ち着くという状態を指す。

「カタルシスを得る方法には、飲み会、ジム、エステ、サウナ、ショッピングなど、さまざまなものがありますが、これがコロナ禍で行いにくくなっています。Aさんは、趣味のヨガで得られていたカタルシスがコロナ禍で得られなくなり、その代替として〝過食→嘔吐〟でカタルシスを得るようになったと考えられます。

ほかにカタルシスを得る方法がないので、過食という手軽な方法でカタルシスを得る。また、吐くことでも別のカタルシスを得られる。コロナ禍の過食症の特徴といえるかもしれません」(立川さん)

もう一つ、コロナ禍での過食では、ある特徴が見られると立川さんは指摘する。それは〝時間に関係なく過食を行う〟というものだ。

「従来の過食症は、〝夕食から夜間にかけて、ごはんやパスタなどの炭水化物や、菓子や菓子パン、チョコレートなどの甘いものを際限なく食べる〟傾向がありました。というのも、昼間は会社という人の目がある場所に行くので、気持ちが切り替えられて過食のスイッチが入らない。実際問題、会社の人に気付かれず、〝過食→嘔吐〟するのは難しいというのもあるでしょう」

だから、帰宅後の夕方以降に過食が止まらなくなる。とくに一人暮らしだと周りに人がいないので、昼間のようなストッパーがない。その結果、欲求に負けてしまうのだ。家族がいる場合は、彼らが寝静まったころを見計らって、〝過食→嘔吐〟をする。

「ところが、コロナ禍ではテレワークなどのため自宅にこもっているので、いつでも食べ吐きができる。その結果、日中から過食に走るようになるのです」

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