パナソニック「幸せの、チカラに。」へ感じる疑問 松下幸之助の「言霊力」こそ経営トップに必要だ
だからこそ、同社の「言霊力」を心配しているのだ。「名は体を表す」と言うが、「言葉は思考を表す」のではないか。「幸せの、チカラに。」のクリエイティビティ(創造性)はゼロである。この感覚、感性が事業に悪影響を与えないことを祈るばかりだ。
松下幸之助氏は「朝令暮改することに躊躇するな」と教えている。パナソニックHDの「幸せの、チカラに。」を「朝令暮改」し、事業会社との間で「パーパス統一」をすぐさま実行したほうがいいのではないか。
いや、「今はパーパスの時代ですよ、と社員が言っているから」といった流行り言葉に左右される組織風土を改革し、しっかりとした独自の経営哲学と言霊、それらを浸透させる「技術」を持つ「松下」に戻っていただきたい。ただし、現代に合わせ形で。
松下式セレモニーとの決別
そう思っていたところ、3月9日、パナソニック コネクトのCEO就任を目前に控えた樋口氏から爆弾情報が飛び込んできた。
「パナソニック コネクトでは、日々の社歌斉唱、綱領・信条・七精神の唱和、カンパニーソングの放送を撤廃します。言うまでもなく、パナソニックの経営基本方針(綱領・信条・七精神)は、我々パナソニック社員の経営や価値観の拠り所、行動指針であり、その浸透に社員一同努力すべきであることは、議論の余地がありません。ただ、時代にマッチしない、儀式的、形式的な啓蒙手法を、形骸化した中で続けるのは得策ではないと考えます」
樋口氏が「松下式セレモニー」と決別した背景には、「歌を歌って士気を高め、順法すべき精神を唱和して徹底させるという啓蒙手法を続ける限りは、我々自身が、従来の価値観に閉じ込められ、また、古い習慣に、引き戻される作用が働きがちです」(樋口CEO)という確信があったのだ。
こうした新生パナソニックHDの内情を、再び王国に例えて表現してみよう。
「パナソニック共和国連邦」では、王室(松下家)の影響力が事実上消滅した。どうやら、テクノクラート(サラリーマン経営者)たちが新政権を司ることになり、自主性を重んじたところ、一部の独立共和国が革命を起こそうとしているようだ。その後、内戦勃発、国内混乱とならなければいいのだが……。
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