パナソニック「巨額買収」、不安拭えぬ2つの理由 次世代に負の遺産残す「ジンクス」を断てるか
成長への妙策か、それとも不相応な愚策か――。
パナソニックが総額71億ドル(約7700億円)でかねての出資先であるアメリカのソフトウェア企業・ブルーヨンダーを買収する。パナソニックにとっては、2011年に約8000億円を投じ行った三洋電機などの買収以来の巨額案件となる。
パナソニックは成長の柱となる新事業の創出に苦戦しており、近年は売上高7~8兆円前後での足踏み状態を続けている。今回の買収によってブルーヨンダーが手掛けるサプライチェーンマネジメント分野の事業成長を加速させ、全社の業績底上げを狙う。
株価には投資家らの「危惧」が表れた
だが、パナソニックの過去を振り返ると楽観はできない。成長を見込んで巨額を投じた事業が想定どおりに寄与せず、たびたび業績の足を引っ張ってきたためだ。今回も投資家らの危惧が株価に表れた。買収発表のあった4月23日、パナソニックの株価は一時前日比4.9%安まで落ち込んだ。
「パナソニックにとって大きな意味を持つこの買収をなんとしても成功させるために、全社を挙げて取り組んでいきたい」。4月1日付けで津賀一宏社長からパナソニックのCEO(最高経営責任者)の職を引き継いだ楠見雄規氏は、23日の会見でブルーヨンダー買収への決意を示した。
ブルーヨンダーが手がけるのはサプライチェーンマネジメントを支援するソフトウェア。生産や流通の現場で効率化を図るためのものだ。具体的には、工場や物流倉庫、小売店舗などで製品の需要予測や在庫管理などを行うソフトウェアを提供し、顧客企業の収益改善につなげている。
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